またな・・
ゴキに・・・頬ずりされてしまった・・・
頬と頬を寄せるほど野人はゴキ好きではない。
されたのは指先で、頬ずりと言うよりゴキは頭が直角に曲がるほどこすりつけていた。
体の回転を抑える為に右足を伸ばして突っ張っていた。
そうまでしてゴキに好かれるようなことはしていない。
していないと言えばウソになるが・・・
近くの壁まで来てパソコンに向かう野人を見ていたのでつい・・
休憩を兼ねてゴキに付き合ってしまった。
いつものように「ラ・クカラチャ」を歌ってやると触覚を振って喜んでいた。
調子に乗って・・続けて3曲も熱唱してしまったのだ。
壁に向かって・・・いや、ゴキに向かって。
両手で指揮者のように割り箸タクトを振りながら歌うと、ゴキもそれに合わせてお触角を振る。
ムーゴキ合唱団はアンビリ~バブルに呼吸が合っていた。
知床旅情に、愛しのエリー・・・だったか。
最後に・・ホタルの光を歌いながらゴキに指先で別れの挨拶をしたら、ゴキが頬ずりしたのだ。
ゴキはゴキなりに別れを惜しんだのだろう。
ホタルの光に対してゴキは・・アタマの光で返してくれた。
足を突っ張ってまで、首を直角に曲げてまでやるとは・・・
野人の唄が余程上手かったに違いない。