大地の悲鳴 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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大地は悲鳴をあげている。

野人の耳にはそれが聞こえる。

大地には多くの生き物が住み、彼らが協力して土壌を築き上げる。

土壌とは数億年かかって生き物たちが創り上げた「生命の基盤」なのだ。

岩や砂ではなく土壌によって地上の全ての生き物が生きて行ける。

地球上の土壌の平均の厚さはわずか17㎝、手のひらの幅にも満たない。

しかしそれで十分、生命を育むのは「表土」であって「土中」ではない。

大地の営みはすべて表土で培われ、そこには科学も到底及ばない仕組みがある。


人は頻繁に表土を壊し、薬剤を散布、土中深く無機物や有機物を埋め込む。

これでは彼らがいくら頑張っても追いつかず、やがてお手上げ状態になる。

農産物は乱れ狂い、イタチごっこを続けた人間もやがてお手上げになる。

そうして廃棄せざるを得なくなった土壌は数多い。土を廃棄するのは人間だけ。

そしてまた山を壊して山土を持ち込み、人間の土壌創りが始まる。

人が信じる「肥えた土壌」目指して。

生き残った土壌も科学の力でしか維持、生産が出来ない。

土壌を捨て去ることほど愚かなことはない。

それはやむを得ないことであり、人間は間違ってはいないと主張しているようだ。

回復出来ない不条理な土壌にしたのは人の科学ではないのだろうか。

人間のプライドはふりかえることなく進むしか道はないようだ。



人が作った「負の遺産」は世界各地で生き物を苦しめる、自らも。

それに気付いている人は多いはずだ。何かがおかしいと。

しかし科学の先駆者達が築いた「理論」は覆せるものではない。

大地は間違いなく傷つき悲鳴をあげている。

森も川も・・・
そして大気も、生命の起源の海さえも。

元に戻せるのは人間しかいない。



流れるだけの川
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