12月半ばから「スズキの生ハム」の生産に入った。毎年のことだが1月いっぱいまで続く。伊勢湾産地物の活きたスズキを使うので、海の荒れる冬場はいつ市場に揚がるかわからない。絞めて血抜きしたスズキを多い時で一度に60キロ前後を調理するが、三枚におろして使える身は重量の35%。ベタ塩で数時間、水分と臭みを抜いてからワインベースのタレに一晩漬け込む。それから丸一日寒風で表面を乾かしてから一昼夜低温でスモークする。完成品は重量の25%強で、60キロのスズキから15キロの製品が出来る。
真空パックして冷蔵でも数カ月大丈夫だが冷凍保存する。スモークサーモンのスズキ版と思って構わない。基本的には受注生産だが、年間使用量を見越して生産している。
数年前、三重県のブランドチャレンジ事業の公募で優秀賞を受賞、賞金200万をゲットしたことのある逸品(笑)だ。賞金はマイナス190度の窒素ガス瞬間凍結機購入の一部に充てた。そのねっとりとした味は誰が食っても旨い事は間違いない。
テレビショッピング大手のバイヤーが受注に来たのだが、量が多すぎて水揚げもアテにならず、生産も野人の手には負えず断念した。やはりこうして手作りの味が一番だろう。
このスズキの生ハムを希望する読者は野人、もしくはゴーリキマリンビレッジまで。
大量の頭やカマや中骨が出るが、これも希望する読者にお分けする。最高の味とスープで病みつきになること間違いない。