野生の地鶏を取り逃がす | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

お・・・
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お~~ 食い物・・

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こっち・・きしめん~  お手!
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あ・・ こら・・
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待て・・・
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待たんかい~~~~~!
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昨日の木の実ガイドの帰りに山道で、車の中から何か見つけてブレーキを踏んだ。食い物を探す野人の動体視力と嗅覚は鋭い。ブッシュに隠れたので抜き足差し足でそっと近づき覘けば・・・食い物がいるではないか。目と目が合ったがそいつは知らんぷりしている。上手く隠れたつもりなのだろう。

「おい」・・・と声をかけたらスックと立ち上がった。バレたのがわかったからだ。雉かと思えば、それは何と地鶏ではないか。地鶏が何でこんな山の中にいるんだと思ったのだが、まあそんなことはどうでもよい。放し飼いの鶏は隠れたりしない。

地鶏の太郎に向かって、「こっち・・きしめ~~ん」。

そしていつものように「お手・・・」と、声をかけた。

頭の中は今夜の地鶏鍋で満たされていた。その食い意地が失敗だった・・太郎は野人の下心を見抜いたように駆けだした。タッタカタ~~!・・と、ブッシュの中に・・・

撮影してる場合ではない。

「こら~待たんかい~~!」と呼んでも・・待つはずがない。追いかけたが、木の間をすり抜けて逃げる。野人は曲がり切れずに木にゴ~~ン!・・とぶつかる。なかなか素早い。さすがだ・・・あきらめた。武士の・・情けで・・

最初に名乗りをあげたのがまずかった。知らんぷりしていきなりタックルすれば太郎は野人の胃袋に収まっていたことだろう。しかし・・・

不意打ちを食らわすのは野人は好きではない。狩るものと狩られるもの尋常に勝負したい。

「太郎 達者で暮らせよ」・・と、後ろ姿をいつまでも見送った、よだれも出たが。

そして・・スーパーで鶏肉を狩って帰った。スーパーの地鶏は逃げないから楽だ。お手・・もしないが。