食べられるヤマウドの花 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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ヤマウドの花の時期も終盤に近付き、そろそろ果実が黒塾し始める頃だ。このタンポポの綿帽子のような花のヒゲの先端に小さな実がびっしりと付いてくる。やや甘くて食べられないことはないが、それほど美味しいと言うものでもない。そう言いながら毎年野人は食っている。食うのは実だけではなくこの花も食う。天ぷらにすれば案外旨い。

野人の実験農園は果樹園ではなく畑なのだが、周囲やうねまで多種のつる性から低木、高木などの果樹がびっしり埋まっている。樹木で多いのはブルーベリー、ユスラウメ、サクランボ、フェイジョア、キンカンなどだが、このヤマウドの大株は50個近い。

樹木を多く植えた理由は幾つもあるが一番は木陰作りだ。その目的から見ればこのヤマウドが一番優秀だ。ヤマウドは成長が早く、春に芽生えて初夏には高さも2mから3mになり、葉も大きくてあっと言う間に木陰を作り、陽加減も調整が簡単だ。秋には枯れてしまうが、早く日照が欲しければ草刈り機で太い幹も簡単に刈れる。

ヤマウドと言えば旬は春で、スーパーにも出回るようになったが野人は秋まで利用している。一般的ヤマウドの他、最も多く利用したのが夏まで次から次に出て来る「新芽」で、天ぷらにすると香りが強くて非常に美味しい。もっと活用されても良いと思う。新芽が終わるとこの花の天ぷらで、最後のデザートのおまけは黒塾した実だ。同じようにタラの木の実も甘くて食べられる。

思えばこのヤマウドも春に幹を食われ、葉の新芽も食われ、花も実も野人に食われ、最後は根元から刈られて可哀そうな奴だ。それでも株は年々太くなり、春には勢いよく芽吹く。生命力が強くヤマウドに勝てる草もない。たいしたものだ・・・