野人の梅酒 15年もの | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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これも前に書いた梅干と同じように台所の下で忘れ去られていた梅酒だ。定かではないがヤマハ時代に作ったもので15年以上は経っている。しまいこんでしまうと気が付かないものだ。味は以前よりはるかにマイルドで美味しい熟成梅酒だ。梅酒は梅酵素ジュースと違って微生物の作用ではないから綺麗に洗っても一向に構わない。これだけ飲むのは大変だから果肉共々料理用にも使うことにした。同じように出てきたのがヤマモモ酒とサルナシ酒だが、これらははうんちくが長くなるからまた別の機会に紹介する。果実酒の中では梅酒ほど古くから愛飲されてきたものは他にない。生では食べられないのに梅酒や梅干しにすると他の追従を許さないほどの味になる日本人の立派な食文化だ。エグ味、酸味、渋味などは生食には向かないが、酒やジャムなどにすると真価を発揮する事が多い。逆に酸味のない果実をジャムにするにはレモン汁を加えなければ味が締まらない。その意味では野生の木の実はジャムやリキュールに向いているものが多い。品種改良されてやたら甘味だけが引き立つ果実とは違う。渋味の強い野生のグミ、ヤマモモ、クワの実、サルナシなどは酒にしてもジャムにしても最高のものが出来る。酸っぱくて食べ辛いブラックベリーなども加工向きだ。大粒で大量に収穫出来る。もっと市場に出回れば楽しい。肥料も農薬もいらず放任で管理が楽だから高齢者向きの農作物になる。