手作りの「オゾン消臭装置」 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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野人の手作りと言いたいがそうではない。友人の東大工学博士が二十年くらい前に作ったもので原理は非常に簡単だ。オゾン発生菅に小型ファンを付けただけのシンプルな構造だから野人にも作れる。ケースもステンレス板を曲げただけの構造で分解修理も簡単だ。これ一個で十畳くらいの部屋ならどんな臭いでも煙草の煙でも消し去ってしまう。博士はもう90歳近い高齢で、たまに電話があるが死ぬまで勉強と意気盛んだ。昔は夜毎食事しながら力学や流体力学の激論を交わしていた。人力推進器では意見が対立、互いの正しさを証明する為に「勝負~!」とばかりに試作品を競ったことがある。地下室には立派な開発研究室があり、どんな工具、装置も備えていた。バック・ツウ・ザ・フューチャーの二人の関係のようなものだ。野人に女心がわからないのは「婦人公論」を購読しなかったからだと、凄まじい持論を展開するジイさんなのだ。購読した本人は前向きだったが女性にフラれてばかりだった。人間は機械工学でもなく婦人公論でもないのだ。

オゾン分子は酸素原子が3個くっついた不安定な形で、一個押し出して二個の酸素になって安定したがっている状態なのだ。押し出される一個は何でも良いからくっつきたがる。酸素原子からくっつかれたら「酸化」、つまり、臭いの粒子が別のものになってしまう。オゾン層が破壊されて穴が空くのも同じ原理だ。地上から成層圏まで昇ったフロンガスにオゾンがくっつくからどんどん失われていった。大気圏を取り巻くオゾンは地球の生き物を有害な紫外線から守るバリヤーの役目をしている。オゾン層がなければ生き物は死滅する。しかしながら、そのオゾンを作ったのもまた紫外線なのだ。地球の創世記、海の植物性プランクトンや海藻が酸素を生み出し大気を形成したが、それだけでは地上に進出出来ない。生き物に有害な紫外線が降り注いでいたからだ。酸素濃度が濃くなると成層圏で紫外線と酸素が反応してオゾンが発生、、気の遠くなるような年月を費やして大気圏を取り巻くオゾン層が形成され、生き物はやっと地上への進出が可能になった。

この装置も紫外線を空気に当てると酸素を分解してオゾンガスを発生させる。それを小型ファンで室内に分散しているだけのものだ。濃度が濃すぎるとオゾンもまた害がある。

地球の仕組みは驚くほどよく出来ている。藻類が紫外線の届かない海の中で太陽光線を利用して光合成、酸素を生み出し、その酸素がまた紫外線と反応してオゾン層を作った。

地球上で一番「あんたは偉い!」と言えるのは藻類だろう。皆さん、すべての生命を生み出し、養っている「海藻」を・・・もっと敬意を込めて・・食べましょうね。くれぐれも磯で、踏んづけたりはしないように~