カジキのたたき | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

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クロカワカジキの塊
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今日も昨日に続いて夕食を作るのが面倒くさい。疲れて腹も減っている。仕方がない手抜きだ。昨日は牡蠣の手抜き料理だったが、今日は冷凍庫のカジキにしよう。野人ほど冷凍庫を活用している人は少ないかもしれない。活魚鮮魚はいくらでも手に入るのだがそれらは食べる時期が難しい。朝でも昼でも時間のある時に処理、下ごしらえして冷凍、食べたい時に作れば料理が楽なのだ。どうしても生にこだわるものだけ急いで食べれば良い。冷凍庫にはキジから鴨、猪、鹿、スズキ、クエ、イシガキダイ、ハモ、タコ、アオリイカ、ナマコ、マンボウ、シャーベット類、魚の生ハムなど、ドラえもんのポケットのように何でも入っている。それらの骨もすべて揃っているから多彩なスープも出来る。カジキの塊は昨年の夏に釣れたクロカワカジキで真空パックされているから変質はしない。英名はブルーマーリンでカジキの仲間では最大になり600キロを超える。ゲームフィッシングでは最大の対象魚だ。ヘミングウェイの「老人と海」にも登場する。刺身は淡白でトンボマグロと大差ないが、ステーキにすると肉のように歯ごたえがありフライでも食える。まあカジキの中ではたいして旨くもないほうだ。一番旨いカジキはメカジキで脂が乗っている。映画「パーフェクトストーム」はこのメカジキの延縄漁の物語だ。次が冬のマカジキでこれは60キロくらいにしかならない。次がシロカワカジキでどん尻がこのクロカワカジキやバショウカジキだ。バショウカジキは20キロ程度の小型カジキで数も少ない。食料としては目方もあり申し分ないのだがいささか食べ飽きた。何とか美味しく食べたくて考えたらひらめいた。カツオのようにたたきにすれば良いのだ。カツオと違って硬い皮は食べられないが身の周囲をあぶり焼きにすれば良い。ワサビ醤油も食べ飽きたからショウガニンニクだ。盛り付けもいい加減で早速食したらこれがまた旨かった。カツオの刺身よりたたきのほうが半身くらいぺろりと平らげられるのと同じだ。カジキもこれにかぎる。

プラスチック皿の周囲に舞う鳳凰やドラゴンは気にしないでくれ。