サフランが満開 花見でパエリア | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは


農園のサフランが満開で良い香りを放っている。サフランはアヤメ科の球根植物で、紀元前から香辛料、染料として用いられていた。赤くて長い3本のメシベを乾燥させて使うが量が採れないので高価なものだった。原産地は地中海沿岸からアジア、イランだ。フランスのブイヤベース、スペインのパエリア、ミラノのリゾット、モロッコのクスクス、インドのサフランライスには欠かせない。サフランはこの他に「薬毒」併せ持ち、漢方の生薬としても重宝され、女性の生理や病気の鎮静、ヒステリーや更年期障害に効くとされている。春に咲くクロッカスに似ているところから「秋咲きクロッカス」とも呼ばれるが、クロッカスや水仙、チューリップ、ダリア、彼岸花などの球根は毒草だ。サフランの致死量は12~20gだが、そんなメシベを山盛り食える人などいない。金額にすれば1万円をはるかに超える。サフランの毒性を気にすることはない。そのような食品はいくらでもある。サフランは旧約聖書の中でも芳香を放つハーブと記され、古代インドでは染料にも利用され、仏陀の死後、僧服はサフランで染められたと言う。古代ギリシャやローマ時代は香水の他、染料として王族だけが使うことを許されていた。

サフランはイランとインドのカシミール地方で最初に栽培され、イスラム教徒に征服されたスペインへは10世紀頃に持ち込まれたようだ。

野人は和食以外ではスペイン料理とタイ料理がたまらなく好きだ。スペイン料理はヨーロッパ、アフリカ、アジアの食文化が融合した香りがあり、タイ料理は南アジアを代表する洗練された料理だ。

さてこのサフラン、どうするか・・そろそろブイヤベースの季節だ。作って食べたいが、懸命に咲いているのにメシベだけ摘んでしまうのは可愛そうだ。このままそっとしておくか・・・・