簡単10分「魚の中華」 超美味! | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは


上がオスの青ベラ 下がメスの赤ベラ  学名キューセン


刺身、塩焼き、煮付け、から揚げ、ムニエル・・魚料理の定番だが、なかなか飽きないから日本人はこれを繰り返す。日本は世界一魚種が豊富な国で、四季の旬もあり、しかも旨い。言い換えれば素材が素晴らしいのだ。しかし、アジア諸国、タイや中国ではどんな魚でも魔法のように美味しく調理する。中華は鍋一つで、タイはスパイスを上手く使う。日本ではあまり食用で普及しない沼の淡水魚やナマズもふんだんに使い、日本人観光客を感動させている。バンコクに同行した友人が丸揚げした大きな魚をピリ辛ソースで食べて「旨い~!こりゃなんだ?」と聞くから、「ライギョ・・日本では滅多に食べられない幻の高級魚」と答えると大感激していた。日本での自慢話中にバレたら後が怖い。沼地で繁殖した外来魚のライギョの主食はカエルや小魚で、動くものは何でも噛み付くのでルアーフィッシングの対象魚、あまり食用にはしない。しかし淡白な白身で味に特徴がない分色んなソースに合うのだ。まあ極端に不味い魚など存在しないが、日本人はブランド志向、味ではなく名前で魚を選んでいるようだ。野人が思うに、魚を扱うこの仕事は前の会社も入れて数十年になるが、本来の魚の味を知っている人は千人に一人もいないようだ。

余って冷蔵庫や冷凍庫に眠っている魚を使ったお奨めの簡単な中華を紹介する。釣りの好きな人も小魚の処理に困ることだろう。特にベラなどは嫌われている地域が多い。関西は重宝、関東では雑魚扱いだ。しかし鮮度が良ければ刺身は旨いし、煮魚は柔らかいが旨い。

ベラの仲間は多いが、今回はアオベラを使った。学名はキュウセンで、ベラの中では一番美味しく関西では高価だ。オスは大きくてアオベラ、メスは小型でアカベラとも呼ばれる。イサキ同様「性転換」する魚だ。興味ある人は「目からウロコ」318日の「浜で寝坊した魚の悲劇」を読むと良い。砂に潜って寝る魚だが、寝坊した悲劇の話だ。

作り方は簡単だ。魚を煮付けに出来るように処理するまでは同じだが、切り身を使えば早い。ニラを刻んで用意し、鍋に魚を入れて、市販のメンつゆで豆板醤を適量加えて煮る。同時にフライパンで煙が出るまで多めのゴマ油を熱する。煮あがった魚を皿に盛り、ニラを乗せて上から熱いゴマ油をジュワ~!と注いで完成だ。簡単だろうが~! 今回はついでにシイタケとチンゲンサイも一緒に煮た。プロ顔負けの絶品中華だ。これまでこの味に感激しない人はいなかった。どんな魚でも高級中華料理に変身してしまう。骨が面倒な人は切り身のタラでもシャケでも構わないが白身が似合う。是非試して欲しい。これだけでご飯が二杯食べられる。しかし・・ほんに旨い・・・これ・・