タコ踏んじゃった2 タコは世界一の美食家 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

 

地球上では間違いなくタコが一番の美食家だ。

多種多様な食生活は人間なのだが、人が価値をつけた「高級食材」となるとタコだ。

 

世界三大珍味のフォアグラ、キャビア、トリュフを毎日食べる人もいないし、日本三大珍味のウニ、カラスミ、コノワタしかり、アワビに伊勢海老、カニ、高価なブランド肉もたまにしか食べられない。

食べものを人が決めた「価格」で判断するならタコに軍配が上がる。

 

タコの主食は甲殻類だ。

魚でも何でもタンパク質なら良いのだが、動きの鈍い甲殻類が捕獲しやすいのだ。

一番は貝とカニで、二枚貝からアワビにトコブシ、カニはワタリガニが多い。そしてウニも大好物だ。

 

潜ってタコの住処の前の食べ散らかした残骸を見ると、多いのはトコブシやアワビ、カニで伊勢海老もよく食べる。

伊勢海老の唯一の「天敵」は人間以外ではタコなのだ。

タコの足をサオにくくりつけて穴から海老を追い出して網ですくう古来漁法もあるくらいだ。

 

またアワビの強固な殻を岩から引っぺがして食べる事が出来るのは、人間以外にはタコしかいない。

タコには魚ほどのスピードはないが、その武器と知能は魚介類の中ではずば抜けている。

 

タコにはまだまだ未知の部分が多く、タコの寿命は普通1年半と言われるが決まってはいない。

そんな短い間にしては学習能力が抜群で、ビンのふたを開けられるのもタコしかいない。

 

毎日、伊勢海老やアワビ、トコブシにウニにワタリガニを食べられる食生活は、紛れもなくグルメナンバーワンだ。

タコにしてみれば普通なのだろうが、人間から見れば羨ましい限りで、しかも「健康食」だ。

 

他の魚介類の食生活はだいたい決まっている。タコに続いて甲殻類をバリバリ食べるのは歯の鋭い「イシダイ」や「ブダイ」の仲間だが、彼らにはアワビは難しいし、穴の奥の伊勢海老には歯が立たない。

 

クジラの主食はオキアミなどのプランクトンでイルカやシャチは魚や海獣だ。

陸上の動物も肉や草や木の実とだいたい限られている。

そんな食生活をしているタコが旨くないはずがない。

 

タコの味はイカと違う。

イカの活きたものは甘さが広がり非常に美味しい。

しかしタコは噛めば噛むほど味が出る。

タコを食べる時は、「この味はアワビやウニや伊勢海老から作られた」と噛み締めて食べている。

そうするとまたさらに旨く感じるのだ。

野人もブランドもやや負ける時もある。

 

スーパーで売られているタコはアフリカ産の茹でられたタコが多い。

同じタコには違いないのだが、ウナギと同じでやはり生の地ダコには敵わない。

本当のタコの味を賞味したいなら生の地タコを調理するしかなく、価格もそれほど高くはない。

 

昔から女性の好物は「イモ、タコ、ナンキン」と言われている。

グロテスクではあるが、勇気を持って生のタコ料理に挑んでもらいたい。

タコは冷凍しても味が変わらず保存性が高い。

こんな便利で美味しいものはないのだ。

 

しかも美容、健康食で「お肌」もツヤツヤ・・・・タコのエサのウニやアワビやトコブシの主食は海藻なのだから。

野菜で言うなら、タコは海藻たっぷり食べた世界一高価な「有機肥料」で育った肉質だ。

海藻が少なく、アワビもいないアフリカ産とは当然味が違う。