赤身魚 白身魚 青物の違い | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

赤身魚、白身魚、青物と言う言葉はよく使われるが、まぎらわしい場合もある。赤身魚とは主にカツオマグロのことを言う。常に潮流の速い外洋を泳ぎ続けるので、筋肉を使うから血液にヘモグロビンが多く、身が赤くなってしまう。珊瑚礁の魚などは岩陰で眠るが、カツオやマグロは泳ぎながら眠っている。はるか外洋だから居眠り運転でもぶつかるものもないのだ。白身魚とはその逆だ。あまり回遊せず海底にじっとしている。カレイやヒラメ、カサゴにアイナメ、メバル、オコゼ、クエやハタなどがそうだ。カワハギはやや動き回るがあまり速く泳げず、水中に停止していることが多く白身魚。スズキも回遊はするがじっとしている時間が長いせいか白身魚だ。中途半端なものにタイやイサキやボラがある。どちらかと言えば白身だが、赤身も混じっている。動いている時間が他の白身よりも多い「半回遊性」だから紅白色だ。青物と言う言葉はやや主旨が異なる。赤身白身は身の色の区別だが、青物は青物しかなく、背が青い魚のことだ。青物は中層から水面近くまで行動範囲が広い。青色や青緑色をしているのは海の保護色になって鳥から見えにくくする為だ。イワシやサンマ、サバ、アジやトビウオがそうだが、トビウオは綺麗な白身で、アジやイワシと同じように干物にされるカマスも綺麗な白身。サケはオキアミを食べて身が赤くはなるが本来は白身魚。巨大な青物ではブリがある。百mから水面までを自在にエサを追うのだが、さすがに10キロのブリを襲う鳥はいないが、ブリの稚魚は「モジャコ」と言い、東シナ海から海面の流れ藻に隠れて北上してくるから鳥に狙われやすく、背中が海面と同じ色をしている。モジャコ漁専門の船があり、ブリの養殖はウナギと同じように天然のものだ。マダイは孵化させた稚魚を使っている。赤身や青物の魚の味は比較的判別しやすく、イワシやアジやカツオ、マグロなどは誰にでもわかるが、白身の微妙な味は判別が難しい。どれも似たような味なのだがそれぞれに味わい深さがある。脂のない河豚の身に人気があるのは、その歯ごたえだけでなく独特の繊細な旨みなのだ。ヒラメにはヒラメの、カレイにはカレイの旨さがあり、どちらが優れているとか価格で決まるものでもない。野人の白身の好みは、刺身ならカワハギ、クエ、メイチダイ、イサギ、カレイ。握り寿司ならナンバー1はホウボウで、二番目は活きたメバル、3番目は活きたカレイだ。カウンターで握りたてを食べれば、ほど良い温度の寿司飯と合ってたまらなく旨い。