毒クラゲの見分け方 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

これから海水浴の季節になる。釣りの案内をしていて気づいた事はクラゲを知らない人があまりにも多すぎることだった。無害のクラゲに怯えたり、危ないクラゲの糸がついた仕掛けを平気で掴もうとする。クラゲについて解説すると、へ~!と感心してしまう。海水浴へ行って大丈夫なのだろうか。クラゲの知識はあるにこしたことはなく、痛い目に遭わずに済む。クラゲの見分け方は「糸」だ。クラゲは糸を長く伸ばし、触れたプランクトンや小魚を毒針で痺れさせ糸を縮めて取り込んで食べる。糸に触れた瞬間に毒針がジャックナイフのように飛び出す。この針は柔らかい皮膚だけ通し、手の平のような分厚い皮膚は案外と大丈夫だ。つまり糸を掴んでも手の甲につかなければ刺されない。糸だけ浮遊している場合も多く、触れると針が飛び出すからやっかいだ。刺されたのにクラゲが見当たらない場合がこれに当たる。とにかく大きかろうが小さかろうが「糸」を引いているクラゲはすべて刺す。海水浴場で刺される可能性のあるクラゲは3種くらいだから、覚えておけば役には立つだろう。

一番良く見かけるクラゲは「水クラゲ」で何処にでもいる。海岸に打ちあがっているトコロテンのようなクラゲがこれだ。白い半透明のお椀型のクラゲはこれしかないからすぐにわかる。このクラゲは糸がないから安全だ。トコロテンの太くて短い足のようなものはあるが、刺すのは糸なのだ。手で掴んで身体に投げつけて遊んでも害はない。類似クラゲはないから間違う事もない。是非一度手にとって観察すると良い。糸がないのがわかる。

海水浴で一番よく刺されるのが「赤クラゲ」と「アンドンクラゲ」で、この二つは特徴がある。赤クラゲは赤茶色の縞々模様のパラソルみたいになっている。類似品はないから赤いシマシマに注意すれば良い。釣り糸に引っかかってくる「刺糸」もこれが多く、赤みを帯びた糸だ。糸は通常1mくらいは何本も出している。アンドンクラゲは少々やっかいだ。長さ5cmくらいの四角い「カンテラ型」で半透明だ。四方の隅から「凧の足」みたいに4本の糸のような短い足を出して、これを伸び縮みさせて泳いでいる。小さくて透明だから良く見ないとわからない。沖には少なく内湾の波打ち際に多い。誰もいない内湾で潜る時には水中眼鏡で波打ち際の水深1m以内でこのクラゲがいないか調べる。真夏は大量にいる場合が多く、その時は場所を変える事にしている。一番の猛毒で他とは異なる神経毒を持つのが「カツオノエボシ」通称電気クラゲだ。これはまた別に説明する。

見るからに猛毒のようなグロテスクなくらげに「タコクラゲ」がある。これは茶色っぽくて二段原爆型の「天空の城ラピュタ」そっくりのクラゲだ。足はあるが糸がないから赤クラゲと区別出来る。水クラゲとタコクラゲ、つまり「水とタコは安全」と覚えるのだ。それ以外は危険なクラゲとなる。クラゲは10億年前から生息する海の最大のプランクトンだ、海月、水母とも書き、ほとんどが水分で、海を漂い、溶けてまた海へ帰る。大量に発生する水クラゲは海の浄化に貢献しているのだ。少なくとも人間よりは。