山椒は日本を代表するスパイス | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

ハーブや外来のスパイスがもてはやされているが、野人が好きな香辛料は「山椒」だ。写真は山の頂上付近でたくさん群生していた野生の山椒。山椒の強烈な香りに好き好きはあるが、これほど食欲をそそるものはない。しかしながら山椒は使われ方が定着しているようだ。ウナギ、タケノコ、田楽を中心に、たまに佃煮や煮魚に使われるくらいだ。コショウを始めとするほかのスパイスのように多彩な使われ方はしていない。木は硬く、昔から「スリコギ」として使われていたが、そちらのほうが目立つくらいだ。食べる機会が少ない上に、日常的に利用されないから余計に人々は山椒から遠ざかってしまう。スパイスが外国から入ってくる前はおそらく山椒が主流スパイスで色んな料理に用いられていたことだろう。塩焼きにも、漬物にも、汁物にも、炊き込みご飯にも。宮崎民謡でも「庭の山椒の木~~」と歌われているくらいだ。名前の由来は古事記に発する。別名「ハジカミ」とも言うが、ハジとははぜると言う意味で、カミとはニラの古名「カミラ」の略だ。つまりはぜるニラからハジカミとなった。現在の山椒は、山の椒、つまり山の辛味と言う意味だ。山椒は消化不良を助け、整腸剤でもある。古くから日本料理に用いられた理由はあるのだ。うなぎにしろ、夏ばてを防ぎ、胃や腸を整える為に用いられてきた。

この山椒を見直し、日本料理屋さんだけでなく、もっと家庭に取り入れて創意工夫してもらいたいと思っている。主婦に「日本女子」の心意気を期待したい。