タカセガイで珊瑚礁を育てる試み | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

数日前のニュースで見たが、地球温暖化の影響で沖縄の珊瑚が危機的な状況となり、再現する努力が試みられている。八重山諸島の小浜島に住んでいたこともあり、3年前に十数年ぶりに訪れると、美しい枝珊瑚の浅瀬は死滅して既に白化していた。珊瑚を定着させる為に、孵化させて人口漁礁などで育てるのだが、藻が生えて覆われて負けてしまうのだ。そこでタカセガイと共生させると、藻を食べるから珊瑚が無事に育つ。当たり前と言えば当たり前なのだがなかなか気がつかない。亜熱帯地方ではタカセガイが良いが、タカセガイだけでなく、巻貝などの貝類は海藻を食べて育つ。サザエもアワビもトコブシもウニもそうだ。ウニは食べる海藻で味が変わってくる。サザエやアワビやバテイラはアラメを好み、海藻の繁る温帯から亜寒帯に生息、沖縄の海にはリュウキュウサザエが珊瑚礁に住み着いている。野人の会社の海の施設にも食材用の大型水槽があるが、すぐに藻が生えて掃除が大変だった。観賞用のアクリル水槽ではないからそれほど気を使うこともないのだが、見苦しいのと、ろ過装置が詰まってしまう。サザエも海藻を食べて綺麗にしてくれるのだが、磯で採取した小型の巻貝やカサガイなどを適当に入れているからいつもピカピカにしてくれている。淡水魚ならタニシを入れると水槽の掃除の手間が省ける。まあ見てくれは悪いだろうが。水田にドジョウを放つと水草の新芽を食べるから除草になり、フンをするとリン酸が増えて稲の養分にもなるが藻が発生する。そこにタニシを放つと藻を食べて綺麗にする。農薬を使わないからヤゴなど他の生き物も増える。するとサギが来てまた肥料をまいてくれる。掃除屋タニシは大忙しで繁殖するし、ドジョウもタニシもエサがいらない。楽をして米を作り、ドジョウもタニシも回収して食材で出荷すれば良い。

自然との共生の仕組みをうまく活用すれば難問も解決出来るが、地球温暖化問題は一筋縄では行かないようだ。炭酸ガスを削減するのが一番だが、世界の農地も含めて、年の半分も土壌をむき出しにすることなく、周年緑に覆われているようにすれば、多少は温暖化防止に貢献出来る。自然に比べて人が作った農地は、苗を育てる為に水を大量に使う。野山の植物は誰も水をやらなくても立派に育っている。水不足は日本よりも外国のほうが深刻だ。