ムカデの毒消しマニュアル | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

そろそろ嫌なムカデに悩まされる季節だ。以前、夜中に寝転がってテレビを見ながら小指をエサにムカデ釣りをしていたら見事に18cmの大物ムカデが釣れた。早い話、ムカデに小指を噛まれてしまった。痛!と感じたらムカデが小指に噛み付いている。久しぶりにお目にかかった大物で小指よりはるかにデカイ。不意打ちをかけるムカデは本当に嫌な奴だ。毛布の中に潜りこもうとする瞬間、テレビのコマンダーで真剣白刃取り、ムカデの頭を畳に押さえつけた。そのままの格好でもがくムカデを横目に見ながら、小指の毒を幾度も吸出し灰皿に吐き出した。吸い終わった手でティッシュを5重にしてムカデを掴みそのまま火あぶり。外に出て家の周りで、「ヤブガラシ」を捜した。別名「貧乏カズラ」とも言い、ツタに似て家や庭木に絡み付いている。藪ごと枯らしてしまうことからこの名が付いた。漢方では(ウレンボ)という生薬名がついて、利尿、鎮痛、打ち身、毒消しなどに利用される。トイレの横に生えていたので、葉を一枚揉んで、ぬめりを小指になすりつけた。毒を完全に吸出せば問題ないのだが念の為だ。結局腫れも痛みもなく何ともなかった。あんなデカいのに完璧に噛まれたにしては上出来だ。ムカデの歯型は残ったが・・・そりゃもうハハハと笑うしかない。
毒虫刺されには他にノビルの球根やサンショウ、ナンテン、イラクサなどが良いが、我家の周りに間違いなくあるのはこの「貧・乏・カズラ」だ。新芽はおひたしや和え物など山菜としても利用される。こんがり焼けた「ムカデの丸焼きと貧乏カズラのおひたし」、なかなかいけるかも知れない。これも医食同源か?無益な殺生はしないのでムカデの処分に悩む。ムカデの侵入を防ぐのは難しい。目は良くないがセンサーが発達して、触れるものにかたっぱしから噛み付く悪癖がある。ムカデの毒はハチやアリと同じ強蟻酸と言われている。いくら住宅を完全防御したところで、人は野山に出かけて余暇を楽しむ。当然出くわす機会も多くなるからまあ上手に付き合ってゆくしかない。
毒対策で大切なことは、やられた瞬間に時間をおかず、何度もしつこく毒を吸い出すことだ。血が出なくなったからといって4~5回でやめない。思い切り「20回」くらいはやってみる。やりすぎて困ることもなく、貧血になることもない。ムカデにやられたとわかり、頭を押さえつけると同時に毒を吸出し始めたのは10秒後だった。吸える箇所であればムカデ退治は吸い出しながら出来る。刺されたり噛まれたりした穴から必ず毒は出てくる。毒が回るから治療が必要になる。これは海の毒魚など全てに共通している。オコゼやゴンズイなどに刺された時も同じだ。もっとも足の指などは一人じゃどうしようもない。その時は水の中で搾り出すしかない。子供がムカデに噛まれたり、毒魚に刺されたら根気よく毒を吸い出してやろう。もしも本人が変なところを噛まれたら・・・敬遠して誰も毒を吸い出してくれない、その時はあきらめなさい。