火を噴く野人の強精茶 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

かなり前になるが、薬草の研究をしていた。

サンプルのビン詰めがずらりと棚に並び、まるで小さな漢方薬局みたいな様相だった。

毒草も自分で味を確認して間違えないように調べ上げたが、危なくて保存はしていなかった。

薬効はビンのラベルに書いてあったからスタッフが好奇心で煎じて飲んで、1時間おきのオシッコに閉口したこともあった。


薬草は利尿効果の高いものが多い。お茶やドクダミ茶も利尿効果があるが、鮮度の良いクマザサやスギナがずば抜けていた。

強精、強壮の薬草もほぼ知っている。

それらは飲みやすいものもあるが苦いものもある。


ある日自分なりにブレンドして「究極の強精茶」を作った。

植物以外の動物にも生薬は多いが、あくまで植物だけの「お茶」を作った。

ところが以前にも書いたが、野人は元々パワフルなので、飲んでもさっぱり効き目がわからない。


そこで、適当な男を見つけて人体実験をすることにした。元の会社ヤマハでのことだ。

その条件は、「とにかくスケベなこと」と「体力も腰も弱そうな男」この二つだった。

それにうってつけの男が見つかったので「強精茶」を無料進呈した。

しばらくは何も言って来なかったが2週間くらいしてあちらから言ってきた。


「あれ・・もう ないはてなマーク と。


効果の程を聞けば・・


「うん すご~く良かったラブラブとのたまう。


「良かったかどうかではないビックリマーク

 効いたかどうかだ!!


と言ったら、満面にスケベな笑みを浮かべて何度も大きくうなずいた。

色々なドリンクを試したけど一番効いたと言う。

それでどっさり追加してあげた。


ブレンドしたのはまずはイカリソウだ。

色んなドリンクに「イカリソウエキス」と表示されている。マムシは「反鼻」と表示され、この二つが圧倒的に多い。

イカリソウは園芸品種としても重宝されている。花の形が錨そっくりで綺麗なのだ。


古代中国で草原の山羊がこのイカリソウを食べて一晩に百回交尾したところから強精効果を見出したという。

そこからイカリソウは「淫羊蕾、インヨウカク」という生薬名が付いた。

浄血作用もあり、美味しくて飲みやすい薬草だ。


それと強精作用のあるウコギの根もブレンドしたがこれは苦味がある。

それと、ネズミモチの実を乾燥させたら丸でネズミの糞のようになるが、これは生薬名「女貞子」と言う。

楊貴妃が玄宗皇帝に飲ませていたというもっともらしい話もあるが、不味いことこの上ない。


味を整える為に配分を考え、甘茶や、もう二つの薬草も加えた。

毒性のあるものはないから民間薬のお茶だ。

当時はバイアグラもなく、怪しげなものばかりが氾濫していたが、色々試したスケベな彼からはNО1クラッカーのお墨付きをいただいた。

やはり成分うんぬんだけでなく、野生の活力も重要な要素を占めると思っている。


売られている健康茶も、何処でどの様な状態のものを採取したかでパワーが違ってくるだろう。

高ければ良いと言うものでもないし国産なら良いというものでもない。

奥の深い世界だが自分で確かめた材料が一番だ。

こんな実験を3千年もやり続けた中国の重みを感じてしまう。

漢字も中国から伝わったが、薬と言う字の草冠が輝いて見える。