薬食の王者 ヨモギ | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

雑草と呼ばれる草で、王者は何といってもヨモギだろう。その生命力は凄まじく、抜いても抜いても根が残っている限り生えてくる。空き地や山を崩した後に真っ先に生えるのはヨモギとスギナだ。栄養分がない場所でも逞しく育つように出来ている。ヨモギは古くから暮らしに密着して使われてきた。お灸に使われる「もぐさ」はヨモギの葉の裏の綿毛から作られる。「草餅」もまたヨモギが使われる。道端の何処にでもあるヨモギだが、最近は排気ガスのかからない畑でも栽培され始めた。栽培にこんな楽なものもない。ヨモギはキク科の多年草で、仲間には蚊取り線香の原料になる除虫菊があり、虫も食わない。レタスも同じ仲間で虫が食うはずもないのだが、肥料で育てたレタスはキク科の本質が薄れるのか虫にやられてしまう。今度の土曜日も主婦のグループ10人の薬草と山菜の山歩きガイドをやることになっているが、ヨモギの薬効は喋るのが嫌になるくらい多すぎる。興味ある人はネットで調べると良い。生薬名「がいよう」と言い、腰痛の浴場剤、便秘、冷え性、食欲、胆汁促進、ゼンソク、とキリがない。小さい頃は怪我をして血が出ると必ずヨモギを石で潰して「血止め」に使っていた。研究が進むにつれて明らかにされた事は、「野草の中で最高の抗がん作用」、200種類を越す野菜、野草の中で「活性酸素消去能力が最高値」「脂肪分解コレステロール低下作用抜群」「血液浄化作用」など次から次へと出て来る。まるで魔法の薬みたいだ。高いお金を出して青汁や健康食品を求めるのではなく、休日には家族で採取すれば良いと思うのだが。草餅や笹団子ばかりでなく、天ぷらや水にさらしたおひたしも旨い。茹でて冷凍保存も利く。粉末にすればパスタだろうがシチューだろうがあらゆる料理に使える。お金などかかるわけがない。ヨモギは国民の健康の為の財産だ。沖縄では各家庭の庭にヨモギが植えられ、あらゆる料理に使われている。沖縄そばにも山盛りヨモギが盛られ、最初見たときは「ゲ・・アクが強くて生で食えるはずがない」と思ったがなかなか旨かった。麺にもヨモギを入れた緑の麺があった。沖縄の長寿食は世界的に有名だが、ヨモギもその一端を担っていたのかも知れない。