「ワカメ拾い」とワカメの見分け方 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

春の磯は海藻の天国だ。アオサ、イワノリ、ワカメ、ヒジキ・・・

小学生の頃から早春は磯の海藻がりに熱中していた。特にアオサやイワノリの味噌汁は大好物だった。イワノリにもアオサにも色んな種類があり、緑のものをまとめてアオサと言うが、正式名ヒトエグサが今の養殖の主流になっている。その大半は黒い佃煮にされて食卓へあがっているが元は緑色だ。イワノリも養殖され、そのまま乾燥、一般的な海苔として売られる。食べるだけでもいいが、やはり自分で採取して食べると一味違う。

これから4月にかけてほとんどの磯でワカメが真っ盛りになる。ワカメと言うと採取には縁のないもののように思えるだろうが、打ちあがったワカメが浜にゴロゴロ転がっていて誰にでも簡単に拾える。ややトウはたっているが十分美味しく、茎もメカブも使える。大潮の干潮に膝まで海に入れば雑草のように生えている。見分け方は簡単だ。ワカメの味を知らない人はいないから食べてみれば良い。磯の生き物もそうだが毒のある海藻なんてない。硬いかアクがあるかだけ。そんな海藻もアクを抜いて柔らかく煮れば全て食用になるから陸の毒草のように気にするものでもない。好奇心があるなら全て生でかじって見ても構わない。これほどフレッシュな健康食品もないだろう・・タダで・・

もっとわかりやすいワカメの判別法は、ポットに熱湯かお茶を持参、かけると瞬時に緑色に変わるから馴染みのあるワカメの味はわかりやすい。打ちあがったワカメは山ほど担いで帰っても構わない。ただ、「海の中に生えている状態のワカメ」も大半は大丈夫だが、漁協によっては漁業権が設定されているところもあるから地元で聞いてみれば良い。たくさんワカメが拾えたら干して保存すれば重宝する。ヒジキは漁業権が設定されている海岸が多い。ヒジキはアクがあり製造に手間がかかるから、まあ無視すればよい。磯は食べられる海藻が多い。ただ商品にするほど量がないから食卓にあがらないだけだ。浜の潮干狩りも良いが、春の磯の海藻ハンティングも楽しいものだ。行く前にネットで海藻を調べて行くとよくわかり、実践を重ねると生涯役に立つものだ。自給自足の一環として覚えておくと食が豊かになる。