3月2日外務委員会質疑の抜粋。「尖閣諸島問題」「集団的自衛権」について。 | 武藤貴也オフィシャルブログ「私には、守りたい日本がある。」Powered by Ameba

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国家主権、国家の尊厳と誇りを取り戻す挑戦!品格と優しさ、初志貫徹の気概を持って(滋賀四区衆議院議員武藤貴也のブログ)

武藤委員
時間が二十分しかございませんので、ちょっと話はかわるんですけれども、今日はもう一点、わずかな時間ですが、尖閣諸島と集団的自衛権、今議論になっている点について、簡単に要点だけ御質問をさせていただきたいと思います。
ここ数年、中国の尖閣諸島周辺における領海侵犯が増加しています。さらに言うと、今年に入って、中国の領海侵犯が、回数はもちろん多いんですけれども、滞在時間も長くなっている、領域内に滞在している時間も長くなっているということが外務省によっても発表されています。
なぜ中国が、領海侵犯、領空侵犯をこれだけ、何百回という数に及んでいますが、繰り返しているのか。国民の不安になっていると思いますし、一体そこで何をやっているのかということを思うと思います。
中国が今何を考えているのかというと、恐らく、日本とアメリカの集団的自衛権の行使、日米安保の五条の「締約国は、日本国の施政の下にある領域における、」という文言を想定しているんじゃないかな。つまり、施政権が及んでいないということを証明しようとして、何回も領海侵犯を繰り返し、そこに滞在を長くしているのではないか、私はこういうふうに想像するものであります。
確かに、米国は、これまで一貫して、尖閣諸島は日米安保五条の対象だというふうに言っています。しかし、領有権については全く言及しない。
さらに、条件がついていまして、この五条の文言そのものなんですけれども、施政権が及んでいる限りにおいて日米安保五条の対象ですよと。したがって、中国は今、たび重なる領海侵犯、領空侵犯を繰り返して、長く滞在することによって、施政権が及んでいないという理屈を構築しようとしているんじゃないかというふうに考えられます。
日本はこれまで、確かに出ていけと言ってはいるんでしょうけれども、事実上、物理的に排除しないという意味で、それを許してしまっている。
例えばロシアなんかは、漁船ですら銃撃して拿捕してという厳しい取り締まりがあるわけでありますけれども、日本はいまだかつてそういうことをしたことがない。これは、国際法上、実効支配が及んでいないんじゃないかという理屈が、解釈がなされる可能性があるんじゃないかなというふうに私は考えています。
そこで、たび重なるこうした中国の領海侵犯に対して、国際法上、やはり物理的にそれを排除するということを検討して、今後十年、二十年、この領海侵犯、領空侵犯が繰り返されていくと、アメリカが最終的に、施政権が及んでいないんじゃないかという解釈をする、このことを念頭にして対応していかなきゃいけないんじゃないか、このように思いますけれども、担当者の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

三ッ矢副大臣
先生の御質問に対して、三つの部分に分けてお答え申し上げたいと思います。
一つは、我が国の施政権が尖閣諸島にきちんと及んでいるかどうかということについてであります。
申し上げるまでもなく、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配しております。他方、どういう監視体制をとっているかということにつきましては、ちょっとこの詳細は、手のうちを明かすことにもなってしまいますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、中国公船が尖閣諸島沖で領海侵入を繰り返していることは事実でございまして、これは極めて遺憾なことでございます。引き続き、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くという方針のもとに、関係省庁が連携して毅然かつ冷静に対処をしていきたい、このように考えておるわけであります。
パートツーとしまして、実力で排除できないのか、こういう御指摘がございました。
国際法上の一般的な理解として申し上げますと、公船は、旗国以外の国の管轄権からの免除というものを有しております。旗国以外の国は、旗国の同意なく立入検査や乗員の逮捕等を行うことはできません。
ただし、領海において外国公船が無害通航に当たらない航行を行っている場合、沿岸国は、公船が有する免除を侵害しない範囲で、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる、このようになっております。ただし、これは条件がついておりまして、そのような措置は当該公船の侵害行為との比例性が確保されていないといけないということでございます。
個別具体的な状況に応じてどういう措置をとるかということを判断する必要があるわけでございまして、正直申し上げて、ここで一概に一般論として申し上げることは非常に難しいと申し上げざるを得ません。
それから、実効支配が揺らいでいるのではないかという御指摘があったと思いますが、我々としては、我が国の有効な支配はわずかなりとも動揺していない、このように考えておりまして、したがって、御指摘のございました日米安保条約との関係で、施政権といいましょうか、日本の有効支配は微動だにしていない、このようにお答え申し上げたいと思います。

武藤委員
今、実効支配がきちんとなされていると、結論としては最後の方で御答弁をいただいたんですけれども、これは日本側の解釈であって、他国から見れば、毎日のように、これだけの数、何百回、何千回という数を繰り返されて、毎日のように自国領のように領海、領空侵犯を繰り返されると、これは国際法上実効支配が及んでいるのかという解釈が分かれてくる可能性があるんじゃないかなということを私は指摘させていただきたいと思います。
もう時間が、二十七分までということだったらあと五分もないと思うので、集団的自衛権についてお伺いしたいと思うんです。
私は、この集団的自衛権、今、自民党内で議論をしていますけれども、本来、国連憲章で言う自然権であって、国が本来持っている固有の権利だというふうに思っています。つまり、制限できない権利だというふうに思っています。
何年か前に国連改革という構想が持ち上がったときに、その中の一つとして、日本が常任理事国入りをするという案がありました。ドイツとかインド、ブラジルとともに常任理事国入りをしたいという提案をしたと思うんですけれども、それぞれほかの、ドイツ、インド、ブラジルからは共同提案国というのがありまして、例えば、ドイツなんかはフランス、ベルギーなんかが支持したし、インドなんかはネパール、スリランカが支持したし、ブラジルも、チリやペルーという周辺国が支持をした。
しかし、日本の支持国というのは、実はアジア諸国で一カ国もなかったという現状があります。たしか、キリバスとか南太平洋の島国は支持していた国があったと思うんですけれども。
ところが、戦後、ASEANを含めてアジアの国に、ODA等々、日本は莫大な支援を行ってきたわけですけれども、日本が国連の常任理事国入りをすると言ったときに、それを支持しなかった。
これはなぜかというと、やはり中国の影響があって、中国が怖いんじゃないか、こういう見方があります。私も、中国に配慮しているんじゃないかというふうに思います。
何で中国に遠慮しなきゃいけないかというと、日本が軍事的に全く頼りにならない。東南アジアの国々は、かつて、中国が南におりてきて、大変な有事の事態に、武力行使に至ることも多々あるので、日本と同盟関係を結んでそれを抑止したいという構想があったと思うんですが、日本は同盟関係を結んでも集団的自衛権を行使できないから、一方的に守られるけれども日本が協力することはできないという今の国内法の状況があります。
そこで、お伺いしたいんですけれども、国連憲章には、フランス語が正文だと思うんですけれども、「droit naturel」という表現で書かれています。つまり、自然権としての集団的自衛権というのが文言として書かれています。
これを留保なしで日本は受け入れた以上は、国際法上の自然権として集団的自衛権を認めたということだと私は理解するんですが、それを日本国内の憲法上制限してきたという状況があります。
それで、自然権としてこの集団的自衛権を受け入れて、自然権というのは、いかなる憲法や法律によっても制限できない権利のことを自然権というふうに、国際法の中で、あるいは法的に、国内法においてもそういう解釈、理解をされている、定義づけをされていると私は思うんですが、憲法上、自然権を制限することが可能なのかどうかということをお伺いしたいと思います。

近藤政府参考人
お答えをいたします。
集団的自衛権につきましての国際法上のいずれについて、私どもはちょっとお答えする立場にございませんけれども、集団的自衛権と憲法との関係について、政府は従来、我が国が国際法上集団的自衛権を有しているということは、主権国家である以上、当然ではありますけれども、一般に国家が国際法上の権利を行使するか否かは各国の判断に委ねられており、憲法その他の国内法によって国際法上国家に認められている特定の権利の行使を制限したとしても、国際法と国内法との間の矛盾、抵触の問題が生ずるわけではなく、法的には特段問題を生ずるものではないというふうにお答えをしてきているところでございます。

武藤委員
自然権が憲法によって制約できるかという質問だったんですけれども、私これは、日本の国内政策判断として行使しないというのならわかるんですけれども、行使できない、つまり、「do not」だったら理解できるんです。けれども「can not」ということだと思うんですよね、できないと言ってしまったら。したがって、集団的自衛権を憲法で制限することができるのかという質問にお答えをしていただきたいと思います。

近藤政府参考人
お答えいたします。
私どもは政府の立場ですので、憲法のもとでできないというふうに申し上げておりますけれども、日本として、国民の意思として、憲法によって政府に行使させることをしないようにしているということでございますので、日本国憲法の判断としてしないということを決め、政府にできないとして禁止をしている、こういうことだというふうに理解しております。

武藤委員
質疑の時間が終了しましたのでこれで終わりますけれども、多分、日本の国内の議論というのは国際社会では全く理解されないと思うんですね。自然権というのは、制限できないから自然権と言っているんだと思います。そのことを念頭に置いて、今後、私も党内での議論に参加していきたいと思いますし、政府の中でも検討を進めていただきたいと思います。これで終わります。ありがとうございました。