2月26日予算委員会第三分科会で行った私の質疑の要約文 | 武藤貴也オフィシャルブログ「私には、守りたい日本がある。」Powered by Ameba

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国家主権、国家の尊厳と誇りを取り戻す挑戦!品格と優しさ、初志貫徹の気概を持って(滋賀四区衆議院議員武藤貴也のブログ)

2月26日予算員会第三分科会で行った私の質疑の「要約」を載せますので、お時間のある方は是非お読み下さい。テーマは「対中援助」についてです。

Q1、武藤委員
2011年中国のGDPは日本を抜き世界第2位になり、昨年は「月面探査ロケット」の打ち上げにも成功した。日本はその中国に対して未だに経済的支援を行っている。その期間は1979年から始まり今年で35年世界最長、額も世界最大3兆円超。しかし昨年末、一方的な「防空識別圏」の設定や「尖閣諸島周辺への度重なる領海侵犯」など、「日中友好」が成立していない実態が明らかとなっている。これまでの対中ODAの効果について総括をする必要があると思うが、所見を伺いたい。

A,木原外務大臣政務官
日本にとって中国は最重要な隣国である。そういう中で、中国の改革・開放政策の維持、促進にも貢献できたと思っているし、日中関係を下支えする主要な柱の一つとして強固な基盤を形成できたのではないかというふうに考えている。とりわけ日本の支援を通じて中国経済自体が安定的に発展をし、そしてアジア太平洋地域の全体としての安定的な発展にも貢献したということであろうというふうに考えているし、また日本との関係で申し上げれば、中国における投資環境の改善が進んだということもある。中国からは2008年に胡錦濤国家主席からODAに対する謝意もあった。

Q2、武藤委員
様々な効果があったという回答だが、私は35年間対中ODAを続けてきて、成熟した友好関係をつくれなかったという事実を結果としてきちんと総括すべきだと思う。ところで、中国が本当に「開発途上国」なのだろうかという事について伺いたい。日本の「ODA大綱」によれば、「開発途上国」に対して支援するとなっているが、OECDが出している「援助受け取り国リスト」によれば中国は「開発途上国」には分類されていない。先に述べたようにGDPは日本を抜き世界第二位、月面探査ロケットの打ち上げにも成功した。北京空港も34万平方キロメートルと、成田空港よりも大きく、非常に近代化した空港をつくっている。そうした実態も踏まえると、中国を「開発途上国」として位置付けて今後も援助を継続していくことには非常に疑問を抱く。確かに中国は内陸と沿岸部の貧富の格差があり、平均すれば所得が低いと言えるのかも知れないが、それは中国の政策が問題ではないか。

A、木原外務大臣政務官
OECD開発援助委員会(DAC)が作成している最新の援助受け取り国リストにおいて、中国は「高中所得国」へと位置付けられているが、一般的な定義に基づけば、DAC上のルールでは、ODAの供与対象となる「開発途上国」で依然としてあるというのが事実である。他方で近年中国が極めて急速に経済発展をしているということも事実なので、今後は日中両国が直面する共通の課題について、我が国の国民の生命や安全に直接影響するものに限ってこれからも支援していきたいと考えている。

Q3、武藤委員
今、我が国の国民の生命や安全に直接影響するものに限るという答弁があったが、今回実施の支援一覧を見ると、そうじゃないものも沢山含まれているように感じる。例えば北京市の持続的農業技術研究開発計画とか、ダム運用管理能力向上プロジェクトとか、道路の耐久性・補修技術向上プロジェクトとか四川省植林プロジェクト等々。確かに中国から見ればありがたいかも知れないが、日本の「ODA大綱」に書かれているように「我が国の安全と繁栄の確保に資する」という観点から言えば不十分ではないかと思う。そしてさらに言えば、ODA大綱では、その実施の原則に「民主化の促進、市場経済の導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う」となっている。果たして本当にこれらの原則に合致しているのか、またこれらに効果があったのか。

A、岸田外務大臣
中国の民主化に資することになったのかという質問だが、この民主化についてはそもそも国の体制が我が国とは随分異なっている。そして経済を始め様々な条件の違いもある。一概に我が国から中国の民主化について評価するのはなかなか難しいし、立場としてそれは控えなければならないのではないかと考えている。様々な我が国の支援が活用されたのは事実だが、我が国の立場から評価するのは控えたい。

Q4、武藤委員
評価を差し控えるという事だが、私は日本の「ODA大綱」に書かれている目的について達成されたかどうかを聞いている。日本のODA大綱の評価はしっかりとすべきだ。ところでODAについては、外国では「大綱」ではなくて「法律」を定めて、それに基づいてODAを出している国も沢山ある。例えばアメリカは「対外援助法」という法律があり、これに基づいて厳格な運用がなされている。もちろん法律に違反した援助は「違法行為」ということで問題になる。しかし日本の場合は「大綱」という事なので、非常に緩やかな「ガイドライン」みたいなもので厳格な運用が求められていない。恣意的な運用が可能で、理念・目的・方針が厳格に実行されていないことが多々出てくる。例えば、次に質問する予定の「留学支援」の根拠規定について役所に尋ねたところ「経済協力」という文言に基づいているという。しかし「経済協力」のために「留学支援」を行っている国は例が無い。従って日本がきちんと国民に説明のつく運用をするためには「大綱」ではなく「ODA基本法」というものを制定していくべきだと思うが所見を伺いたい。

A、岸田外務大臣
まずODAは、言うまでもなく最も重要な外交手段だ。そしてODAを実施する際に大切にしなければいけないのは、二国間を含む総合的な外交判断に基づいて、機動的そして柔軟な対応が求められるという点だ。ODA基本法を制定するという議論があるが、それが適当かについて、機動的あるいは柔軟的な対応が求められる、こうしたニーズにしっかり応えられるかどうか、この点もしっかり考えた上で、将来的な課題として議論を進めていくべきものではないかと考えている。

Q5、武藤委員
議論を進めていくべきという前向きな答弁を頂いたが、私はやはり大綱だと厳格な運用がなされないし、現状だと国民に説明がつかないと思うので法律を作ってそれに基づいてやっていくべきだと思う。次に中国に対する「環境支援」について伺う。ODAの中に「空気の浄化」や「汚染物質の浄化」を目的として支援をしているものがある。今、「PM2.5」という物質が中国から日本に多く飛来し、人体に悪影響を与えていることが科学的に明らかになっている。以前外務省に環境支援が日本の国益になっていないのではないかと聞いたところ、中国の環境浄化の技術が向上すれば日本の国益になるという回答が返ってきた。国際法では、カナダとアメリカが争ったトレイル溶鉱炉事件で「領域の使用に関する国家の管理責任」が認められ、カナダはアメリカに賠償金を払った事例がある。しかし日本は真逆だ。環境汚染物質が飛来して、それに対して訴えるどころか支援を行っている。仮に日本に汚染した物質をどんどん流すと日本から環境支援がもらえるということになれば、周辺諸国は日本に汚染物質を流せば技術協力がもらえるという理屈が成り立ってしまう。従って、支援するのではなくて、中国の自助努力で環境改善をやるべきだ、あるいは日本に環境被害が出た場合は賠償も求めていくということを表明すべきだと思うが、所見を伺う。

A、下川政府参考人
PM2.5を含む中国の環境汚染については、中国にいる在留邦人の健康への影響という観点、更には日本の環境にも影響を与えかねない問題として、日本政府としても高い関心を持って注視している。中国の大気汚染対策というのは、もちろん一義的には中国が責任を持って対処すべき問題だが、国境を超える問題は一刻も早く解決すべき問題でもある。日本が過去培った経験や技術を活用しながら、可能な限り協力を進めていきたいと考えている。

Q6、武藤委員
時間が無くて聞きたいことの半分も聞けない状況だが、次に「中国人留学生支援」について伺う。日本はODAの一環として中国からの留学生を沢山受けている。留学生支援そのものに反対するものではないが、日本の税金からお金を出して、中国人留学生に学んでもらうのであれば、当然日本に感謝してもらいたいし、日本の良いところを学んで、中国本土に帰った後も学んだことを色々な形で生かしてもらったり、あるいは中国と日本の友好のためにパイプ役になったりして頂きたいと思う。しかし役所に聞いたら本国に帰った後どうなっているか殆どわからないと言う。国費留学で日本に来た中国人留学生は、学費が全額免除される上に、生活費が月々12万円、大学院生の場合は14万円もらっている。生活費の算定根拠はわからないが、日本の生活保護費は7万か8万円だと思うが、留学生はこれより高い額をもらっている。こういう実態もあるので、帰国した後どうなっているのか、それと日本の国益に資する形で、私たちの税金が使われている訳だから、それを生かす形を取って頂きたい。その点について所見を伺う。

A、中岡政府参考人
中国人留学生を含め外国人留学生の受け入れは各国の人材育成への貢献のみならず、日本人留学生の異文化交流促進などの学修環境の充実とか、相互交流による教育研究力の向上など、大学自体の国際化に大きく貢献しているものであり、また日本文化の理解促進、国際関係の改善に資するなど、国益につながる多様な意義を有するものと考えている。従って、中国人留学生を含めた外国人留学生の受け入れについては外交的、経済的、教育的にも重要な意義を有すると考えている。帰国後の捕捉という事に関しては、現在独立行政法人である日本学生支援機構において、卒業後の連絡先、進路等を調査して、可能な限り情報を把握するように努めている。今後ともフローアップに努めたいと考えている。

終、武藤委員
もう時間が来たのでこれでやめるが、やはりODAは日中友好に資する形で今後きちんと見直していかなければならないと思う。今日は様々な回答を頂いたが、今後もこの問題について意見を述べていきたいと思う。