月に代わっておまとめ!
平成を代表するアニソンの、作曲者不詳の謎と引用騒動。
2016年 雑誌「CDでーた」好きなアニソン 第3位。
2019年 平成アニソン大賞(ソニー) 作品賞。
2019年 平成で最も歌われた月の歌(DAM) 第3位。
2020年 テレ朝「お願い!ランキング」アニソン総選挙 第12位。
92〜97年放映のアニメ「美少女戦士セーラームーン」の主題歌「ムーンライト伝説」は、平成から令和にかけて再評価の嵐。
ポケモン、エヴァ、進撃の巨人…。
平成のヒットアニメ数あれど、主題歌とキメ台詞「月に代わっておしおきよ!」が、本編を見ない人にまで浸透したアニメは、セーラームーンくらいだろう。
平成に入り、アニソンは完全にJ-POP化。
そんな中、「ムーンライト伝説」は、昭和歌謡的でノスタルジックな雰囲気を伴った楽曲として広い人気を得た。
「月の光に導かれ 何度も めぐり合う」
だが、再評価されながらも、この曲は作曲者不詳。
元々、この曲は、女優の中谷美紀の所属ユニット・KEY WEST CLUBが「夢はマジョリカ・セニョリータ」として歌唱。その際の作曲者表記は、川島だりあだった。
同年、この曲は歌詞と歌唱者を変えて、セーラームーンの主題歌に。
その際、作曲者表記が「小諸鉄矢」に変えられている。
この小諸鉄矢は、当時人気の「小室哲哉」をもじった架空の名前で、他に作品はない。
小諸鉄矢とは誰か?
たちまちアニメファンの間で憶測を呼んだ。
その後、「小諸鉄矢=川島だりあではない」と、編曲者・池田大介が証言。
「近田春夫では?」との憶測を、近田自身がTwitterで否定。
ビーイングの長戸大幸が「音楽プロデューサー・吉江一男」と証言。
…と、未だ諸説入り乱れている。
また、この曲は、倍賞千恵子の65年のヒット曲「さよならはダンスの後に」との酷似を、作曲者の小川寛興が指摘。
JASRACが仲介し、著作権使用料の一部を小川に分配することで和解。
この曲の「昭和歌謡的でノスタルジックな雰囲気」は、実際、昭和歌謡からの引用だった。
過去、「銀河鉄道999」からの歌詞引用を巡って、松本零士VS槇原敬之の訴訟が泥沼化。
作品イメージを大きく損ねた事例もある。
が、小川氏は「すでに子供たちに親しまれている曲だから」と、大きな問題にせず。
そのため、2曲の酷似に気づいていない人も多い。
盗用と引用の境目は難しい。
が、「月の光に導かれ」以降のBメロの高揚感は、この曲独特のもの。
日本の女の子たちの夢と思い出を守った、故・小川寛興氏の配慮に感謝だ。
「ムーンライト伝説」
作詞:小田佳奈子
作曲:小諸鉄矢
編曲:池田大介