腸内細菌が私たちをコントロールしている? | 習慣!健康スタイル(R)

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アイ・エム・ビー株式会社
きのこ工房(R)
朝倉健康栄養研究所

気温と湿度の上昇にともないいっそう注意が必要な食中毒。
細菌性・ウイルス性食中毒対策の基本は、原因となる菌やウイルスを「つけない(持ち込まない)」「広げない」「増やさない」「やっつける」です。
買い物中や調理中も油断は禁物。
くれぐれもご用心ください。
 
そして、人体に害を与える病原菌を取り込まないようにする一方で、私たちの腸内に棲む腸内細菌を上手に“飼い慣らす”ことも大切です。
 
さて、その腸内細菌について興味深い研究報道がありましたので以下にご紹介します。
 
【正義感の源は「はらわた」にあり!?... 腸内細菌が人の道徳的判断にまで影響を与える驚きの研究結果】
https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2024/06/post-104678.php
<仏独の共同チームによる最新研究によれば、サプリを飲んで腸内環境を整えるだけで、不公平を許さない正義感の強い人格になれる(かも)>
 
『人体には膨大な数の細菌が生息しているが、その大部分は腸内に存在する。この腸内細菌は、代謝から感情まで心身にさまざまな影響を与えることが分かっているが、新たな研究では、意思決定にも影響を与える可能性が示唆されている。』
 
『しかも公平性を重視するといった、規範的な判断に影響を与えるという。』
 
『米国科学アカデミー紀要(PNAS)の姉妹誌PNASネクサスに発表された論文によると、この研究に取り組んだのは、フランスのパリ脳研究所(ICM)とドイツのボン大学の共同チームだ。』
 (中略)
『英語で「直感に従う」ことを「腸の気持ちに従う(going with your gut)」と表現するが、まさにそのとおりのことが起きているようだ。』
(Newsweek 2024年6月6日)
 
この研究では、「腸内環境を良くするサプリを飲むだけで正義感が強い人格になれるかも?」との可能性を示唆していますが、それほど極端な話でなくても、古今東西、気持ちや心の状態を表す言葉に「腹」が含まれる例がたくさんあり、私たちも日常でよく使っています。
 
・腹が立つ
・腹が黒い
・腹が据わる
・腹が決まる
・腹を読む
・腹を割る
 ・・・等々。
 
古人から現代に生きる私たちまで、心(脳)と腹(腸)を結びつける言葉を知らず知らず使用していますが、脳と腸の関係を知るわけでもなく、ただ経験的になんとなく気づいていたように思われます。しかし、先人が経験的に感じ取っていた「なんとなく」が科学的に解明されつつあります。
 
脳内神経伝達物質も腸内でつくられる!
代表的な脳内神経伝達物質であるドーパミン(快感ホルモン)、ノルアドレナリン(ストレスホルモン)、セロトニン(幸せホルモン)は、感情を支配するといわれていますが、その多くは腸でつくられます。
特にドーパミンやノルアドレナリンの暴走を抑えるセロトニンは腸(腸内細菌との協同作業)でつくられ、体内のセロトニンの90%は腸に存在し、脳内に存在するセロトニンは2%ほどです。セロトニンが不足すると、うつ病の原因にもなり、逆に増えれば幸せな気持ちになります。
そして、セロトニンの増減と深くかかわっているのが腸内細菌なのです。
 
このように腸と脳(心)は密接に関係し、それを結びつけているのが腸内細菌です。腸内細菌のバランスの乱れが、肥満、花粉症、糖尿病、大腸がんなどさまざまな疾患とも密接に関係していることが徐々に明らかとなってきました。