「オードリー」彩る人々 山の御大・川の御大 | 武蔵野舟木組 2024

武蔵野舟木組 2024

               さすらい

 

NHK朝ドラ「オードリー」は、クリキンこと栗部金太郎(舟木一夫)の時代劇の撮影シーンから始まりました。異例とも言えるオープニングでした。

 

京都にある大京映画は、クリキンとモモケンこと桃山剣之助(林与一)の時代劇俳優が二枚看板で成り立っています。クリキンは、京都東山に住んでいた事から「山の御大」と呼ばれ、モモケンは鴨川のそばに住んでいた事から「川の御大」と呼ばれています。

 

舟木さんと林与一さんとの共演は、NHKとしては大河ドラマ「赤穂浪士」での共演も意識されたのでしょう。舟木さんがデビューした年に出演が決まりました。そして堀田隼人役の与一さんは、この出演で人気を博し、全国区の俳優さんになりました。

 

 

クリキンとモモケンの関係は、東映時代劇のトップスターであり、重役俳優だった、片岡千恵蔵さん、市川歌右衛門さんになぞらえた様に描かれています。

千恵蔵さんは、京都山の手、嵯峨野に住んでいた事から、「山の御大」と呼ばれ、歌右衛門さんは、北大路に住んでいた事から「北大路の御大」と呼ばれていました。

歌右衛門さんの息子さんの北大路欣也さんは、そこから芸名を付けられたのでしょう。

 

戦前戦後には時代劇六大スターが存在しました。坂東妻三郎、嵐寛十郎、大河内伝次郎、長谷川一夫そして片岡千恵蔵、市川歌右衛門です。

クリキンが、「サシスセソ」の発音を苦手にしていますが、これは、大河内伝次郎さんを意識して、そうさせたものだと思っています。

 

「みちのくに、流れ流れてイチノシェキ(一関)。シャミダレヒョウマ(五月雨兵馬)のヒッシャツシャッポウ(必殺殺法)見事受けてみるか!」

 

市川歌右衛門さんと言うと、「旗本退屈男」での決めセリフが好きでした。テレビ時代劇でも多くの作品にいろいろな決め台詞がありますね。

『この眉間に冴える三日月型、天下御免の向こう傷。直参旗本、早乙女主水之介、人呼んで旗本退屈男』

 

テレビ時代劇でも多くの作品にいろいろな決め台詞がありますね。

桃太郎侍『一つ人の世の生き血をすすり、二つ不埒な悪行三昧、三つ醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎』

破れ傘刀舟『てめえら人間じゃねえや!叩っ斬ってやる!』

水戸黄門『控えィ控えおろう!この紋所が目に入らぬか!先の副将軍水戸光圀様なるぞ』

などなど

 

千恵蔵さんも歌右衛門さんも、中村錦之助、大川橋蔵などに主役を渡す日がやってきます。

オードリ―では、幹幸太郎(佐々木蔵之助)が登場します。

 

千恵蔵さんと歌右衛門さんは、同じ会社内のライバルでありましたから、オードリーでのクリキン、モモケンの様に仲が良かったかどうかはわかりません。

このお二人の共演時は、タイトルバックでの名前の表示で、苦労したという話は聞いた事があります。