去年、アタシのブログを見たと言う御仁から、築地波除神社の木版画が欲しいとのメールが有った。工房に作品が無いか探してみたが、波除さんの版画だけが無かった。
そこで、版を摺るからしばらく待って下さいと返事をすると、待っていますとの返事。1・2月は忙しく、やっと手の空いた先月後半から摺りを始めた・・・。
墨での摺りを終え5・6日紙を乾燥させてから、薄墨で陰影を描く。礬砂を引いていない生の麻紙なので、筆を重ねるとにじんでしまう。
てんで、簡単そうに見える薄墨での彩色も、塗った墨が完全に乾かないと、墨を重ねられぬ・・。
上の写真は、本番前の試しの薄墨での彩色・・・・。描いた墨が乾かないと色が分からない、染色の時、濡れた生地を乾かして色を確認するのと同じ事。
摺り終え。薄墨を差した後に竹の葉を描いていくのだが、これも何回かに分けて描かなければにじんでしまう。奉書に摺る浮世絵などは一色一回で済むが、生の麻紙だとそうはいかぬ。
親指をパレット代わりにして筆先を整え、描いては乾かし・描いては乾かしを繰り返す・・・。世界中でだれもやっていない技法、此処にたどり着くまでスゲー時間がかかった。
作品に題名とサインを入れ、落款を押してやっと完成・・・。
分厚いボール紙を丸めしばし御覧の状態で置き、元に戻らなくなったところで、全体と底にもボール紙を張り付け、紙筒を作る。
作った紙筒に版画を入れ、先日やっと先方に送ることが出来た。墨が乾く間にも細々とした物の片づけをし、それだけブログネタが増えたと言う訳である・・・・。
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