![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240119/19/muranaoya/41/07/j/o0607108015391316810.jpg?caw=800)
人が持つこだわりとはなんなのだろうか?それが意識に上がっているものと、無意識に沈んで自分ではあまり自覚しないものとがあるようだ。
門弟の一人が、足の出し方で前に習っていた流派ではそうではなかったと言い出した。が、もちろん私のもとへ来て10年近くなり、既に何度も何度も同じ技術のところで同じ注意をされているのだが……おそらく、自分が覚えられないことへの悪気ない言い訳らしい。
それを見ていた別の人が、自分が酒を一滴も呑めないのに、飲んでもザルのようなんでしょうと仲間に言われて、随分と長い間イヤな思いがしていたことを私に告げた。別段、たいした問題ではなさそうに思えるこのこと、本人にとってはたいへん傷つけられたらしい。
高齢の人々でも、思いもよらないことに傷つきこだわるものだと、ちょっと笑いながら、ふと我が身を振り返ってみる。
ああ、私のこだわりというものも、案外、他人から見たらその程度のことなのだろうと、あれもこれもと思い浮かべて、ちょっと微笑んでみた。