小川洋子著 「人質の朗読会」 | Maki Murakami Official Blog

6月26日(日)


こんばんは夜空


今夜は、日曜劇場の「JIN-仁」最終回・2時間スペシャルで

http://www.tbs.co.jp/jin-final/

TVに釘づけの方も多いと思います。(主人もそうです)

その間を読書の時間にあてました。




「博士の愛した数式」や


「猫を抱いて象と泳ぐ」を娘と読後感などを


共有しながら読んでいる小川洋子さんの


作品。


芥川賞受賞作の「妊娠カレンダー」では


もっと、愛おしさや切なさがほしい・・・と


素人なりに感じておりましたが


今は、その深淵な着想、眼差し、表現、


祈りの世界に圧倒されています。


Maki Murakami Official Blog


「人質の朗読会」


お読みになった方もおいでだと思います。


小川洋子さんの作品によく登場する


Aではない人たち。 社会で光をあびたり


認められないけれど、とてつもなく本質的な存在である人たちに


たくさん出会えました。


数学の集合で、AでないものをAバーと表現すると知ったとき、


〇〇でない・・・という否定語を使わずに表現できることに


大変感動しましたが、


そんな、「その他」のような存在一つひとつとの出会い、


そこから生まれる大切な気づきや想いが


「人質の朗読会」という


思いもよらない場面設定により


丁寧に浮き彫りにされています。




いつも私が先に読むのですが


後に読む娘が、ストーリーの前半の


示唆的な表現から後半を予測することもありますので


今回はどのように読むのか楽しみです。





昨晩、TVでアン・ハサウェイ主演の「パッセンジャーズ」


http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13860/story.html


を観ましたが、なにかそのメッセージともつながるものを感じました。


飛行機事故で奇跡的に生還した乗客の


カウンセリングを担当するセラピストが、不可解な事態に


巻き込まれていく心理サスペンスでしたが


最後の展開に驚かされ、また納得もしました。




「人質の朗読会」でも死者のエピソードが多くでてきます。


「パッセンジャーズ」でも


シェークスピアや日本の能のように


声なき人の声を亡霊に語らせるというような


古典的な手法と変わらない


死者の真実の声を知りたいという


また、日本的に言う「成仏できたのか」という


遺されたものの普遍的な気持ちに応えようとする


メッセージが感じられました。




本当に伝えたい気持ち


本当に大切なことは何か


考えながら、あせらずに行動していってもいいのかも


知れません。