メメント、ダークナイト、インセプション、テネットなどから、オッペンハイマーまで。
時間軸が入れ替えるうちに、正常が異常に、歪みが当たり前になってくる、奇妙な世界。
そんな、クリストファー・ノーランのデビュー作、「フォロウィング」のHDレストア版を見てきました。
白黒の画面の中で、自分の性癖を告白する男。 それを尋問する、刑事らしき人物。
その男、作家志望のビルがはまっていることは、通りすがりの人々の後をつけること。
でも、それ以上のことはしない。 距離を置いてじっと眺める、ただそれだけ。 それが彼のルール。
ある日、銀行員風の男の後をつけて、ルールを破ったことから、運命が変わり出す。
喫茶店で近くの席に座っていたら。 男が寄ってきて、なぜ俺をつける? 俺に興味があるのか?
これには、どきっ。 ところが、もっとびっくり。 怒るどころか、俺に付いてこい、とは、いったい。
銀行員かと思った、男のカバンの中には、盗んだCDがぎっしり。 これは金になるんだ、だって。
この男コップの正体は、他人のアパートに忍び込んで、盗みを働きながら、私生活を覗き見ること。
好奇心に負けて、男の手伝いでアパートに侵入するようになるビル。 ここから、らせん構造の謎の始まり。
みすぼらしいなりから、サラリーマン風のスーツをあしらえ、単独でアパートに盗み入るようになるビル。
ある日、忍び入った女の部屋は、前にコップから聞いていた部屋のよう。 その女を見つけ、尾行するビル。
いつの間にか、ビルと女との距離が縮まり、突き放しながらも、沼のようにビルを吸い込んでいく女。
その女は、実はコップの愛人。 その結末で、女が殺され、ビルが犯人として逮捕される。
で、最初のシーン。 コップに騙されたと主張するビル。 そこに、そんな男はいない、との刑事の一言。
これが結末。 あっさり終わって映画館を出たら、そんなはずはないだろうと、どんどん湧き出る疑問の嵐。
うーん、謎。 1998年作の70分のモノクロ映画で、このあと、何日かは夢にうなされたのでした。
(公式サイトはこちら)