アーティストたちの「突然変異」の表現を探るシリーズ、今回のテーマは「もののうつり」です。
こちらの会場は、モノトーンです。
真ん中にどーんと、西村涼の「はこぶね」。 ドライポイントから、最近は石膏刷りにこだわっている作家。
インクと石膏が、溶け合いながら固まる様子が、作品になる。
そこに見える、うつりゆく自然現象や、残されたものの痕跡。
距離を変えると、印象が変わるのがおもしろい。
紙に印刷したイメージを、アクリル樹脂系のメディウムやシンナー溶剤で、支持体に移す技法。
それは、倉敷安耶の「Transition#九相図」で見られます。 そこには、技法を越えた、宗教的な無常観が。
別の部屋に行ってみます。
凹凸のものに紙を乗せ、鉛筆などで擦るように描く、西村涼の技法。 まさに、もののうつり。
また、倉敷安耶の「九相図」が。 死体をモチーフにしながら、観られる官能が表出される。
同じ作家が提示する、お洒落な食卓と椅子。 片隅の無人の空間が、「わたしたちは家族」とは。
食卓、食生活、肉体、発酵と腐敗などを、考え続ける作家。 「メメント・モリ」の言葉を思い出す。
なるほど、もののうつりですか。
廊下には、別会場での展覧会の記録が。