猿之助の陰陽師は新鮮で面白い | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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歌舞伎座の鳳凰祭四月大歌舞伎、「新・陰陽師 瀧夜叉姫」の続きです。

主役の晴明、博雅、瀧夜叉姫がなかなか出てこなかったり、道満と興世王が目立ったりと、ユニークな演出。

 

晴明内の場には、式神で笑也と笑三郎。 道満の監視カメラの虫が来ても、この二人がいると安心。

どれ偵察に、とは笑也。 蝶々の振りでの花道の六方が、可憐。 笑三郎は、落ち着いて晴明を守ります。

 

ほおっておけ、いけ好かない奴だ、、、虫を介しての晴明と道満のやり取りのあと、瀧夜叉姫と博雅の登場。

ここでは、町娘姿の瀧夜叉姫の壱太郎が、訳ありで清楚。 博雅には染五郎で、ギャグなしでかっこよく。

 

役者が揃ったところで、一條戻橋の場から、どんどん展開が速くなります。

将門の首を見つけて、瀧夜叉姫に殺されるのは、青虎の源八郎。 短い時間でも、法界坊風に仕事きっちり。

 

蘇生して、再び天下を狙う将門。 そこに、晴明と博雅が駆けつけ、僧形の興世王と藤太も現れる。

暗闇の中、右近、福之助、隼人、染五郎、壱太郎が、将門の腕と首を奪い合うだんまり。 この様式美がいい。

 

そこに突然現れる、大蝦蟇。 晴明が呼んだ、眷属の狐たちと大立ち廻り。 これぞ、澤瀉屋の演出。

更に、興世主と瀧夜叉姫の、幕外の引っ込み。 ぶっかえりの後、右近と壱太郎がたっぷりと、六方を見せてくれました。

 

大詰めは、三上山での正義と悪の対決。 桜満開の中、竹本連中の「道行妖花王」が美しい。

ここは、児太郎と歌之助の舞踊を、じっくりと拝見しましょう。 鷹之資の大蛇丸が、加わって、更に華やか。

 

声も仕草も大きい大ちゃん、それが大事や(大蛇や)って、なんじゃそら。 さあ、藤太の大百足退治の、始まり。

この百足四天が大あばれ。 俳優2名にダンサー8名により、バク転、側転、宙返り、返り越しなど、技の連続。

 

対する歌之助は武者姿、鷹之資は修験者姿からぶっかえっての鱗模様。 これが、凛々しい。

百足を退治した後は、門之助の山姥から、名剣・黄金丸を手に入れて、いざ決戦の、貴船岩屋の場へ。

 

ここでは、道満と興世王により鬼となった、将門が宙を飛ぶ。 巳之助が、怖いくらいの迫力です。

それを嘆いて身を投げる、瀧夜叉姫が哀れ。 こういうお役は、壱太郎が上手い。

 

猿之助、右近、巳之助のおどろおどろ軍と、隼人、染五郎、歌之助のさわやか軍の戦いは、やっぱり正義の勝ち。

脇役のようだった隼人と染五郎ですが、キャラがしっかりしています。 純友とばれた右近が、ずっと存在感。

 

で、全員そろっての、今日はこれギリ、、、じゃなくて、皆さまお待ちかねの宙乗りです、、、だって。

8人が舞台でキマる中、将門の髑髏を抱えた異形の猿之助が、隠岐、じゃなくて、未来に向かって飛んでいきました。