歌舞伎座に澤瀉屋の新陰陽師 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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千秋楽ぎりぎりの、明治座と歌舞伎座の弾丸観戦。 では、歌舞伎座の「新・陰陽師 瀧夜叉姫」を。

2013年に、歌舞伎座の新開場を祝っての、初上演。 それから10年後、新開場十周年での再演です。

 

脚本と演出は、猿之助。 澤瀉屋の復活通し狂言の形式にして、古典のパロディーも取り入れたとか。

監修は、春秋座での猿翁アーカイブの解説でもおなじみの、石川耕士。 古典演目として、取り組んだそう。

 

発端は、賀茂社鳥居前から。 若き日の将門と俵藤太秀郷が、それぞれ東国と都に住むことを決める。

巳之助と福之助が、筋を語ってから、セリで下がっていきます。大時代な台詞で、二人の動きが硬い。

 

次は、大内の場。 猿弥の関白と、中車の右大臣が、重々しい。 これが、古典演目? いやいや、何かありそう。

藤太が将門討伐を命じられ、児太郎演じる恋人の桔梗と、うろたえる。 そこに、猿之助の蘆屋道満が。

 

花道が明るくなったとたんに、階からかたんと現れる。 猿弥に突っ込まれて、「そんなこと、どうでもいい」。

藤太に鏑矢を授けて、将門の急所を狙えと言って、「(急所がどこか)わしは知らん」だって。

 

猿之助が脇役の道満なの、と思ったら、この真面目な(?)おとぼけぶり。 これは期待できそう。

場が相馬内裏に移ると、公家荒が怖い、将門の巳之助。 そこに、いかにも怪しそうな右近の、興世王。

 

将門と藤太の旧友どうしの戦い、藤太を助ける桔梗。 斬られた腕が宙を飛んだり、首が笑いながら消えたりと大騒ぎ。

三幕の間、ずっと出ずっぱりの右近が、準主役のよう。 せり上がったり、赤旗を振ったりと、大忙しです。

 

その1年後、舞台は京。 悪たれ坊主風の道満が、晴明の悪口を言っています。 こ、これは文覚か。

「パワハラにご注意」とは、猿弥。 時代言葉にギャグが混じって、段々と澤瀉屋の雰囲気になってきてます。

 

そこに、やっと出てきた晴明。 「陰陽師」とあるとおり、主役は猿之助に指名された私です、とは隼人。

肩の力が抜けて、華がある演技。 藤太が持参した将門の腕を狙う、右近のニセ内侍を、興世王と見抜きます。

 

本物の内侍は、今年93歳の寿猿。 女性の歳は聞かんもんじゃ、って、こりゃ失礼。

正体がばれた右近が、火炎の技を見せて、スッポンから消えていきました。 さあ、これからどうなる。