去年のちょうどこの時期、SAPIXのアルファクラスのAくんを教えながら「なんでこの生徒は最近、思考力が落ちているのだろう・・・」と不思議に思って接していました。
成績が不自然に急降下するパターンは必ず 理由があります。
数年前ですが、視力が急速に下がっていて文章が二重に霞んで見えていたのに、本人が周りの大人に言わなかったことがありました。「なんかね、最近文字がぼんやりと重なって見えるの」「・・・め、眼鏡すぐにつくろうね!」(乱視の疑いがあったのでレッスン後、すぐに対応しました)
成績の下降というと、まあ、たいていは親子のコミュニケーション問題なのですが💦これは重たいテーマで長くなるので今回はパス!(二月の勝者を読んでください)
さて、 なかなかそのAくんは原因が思いあたらなかったんですよ……
あるときにふと「もしかして最近コベツバっていう動画をみて勉強していない?」
生徒「あー、見てるよ。わかりやすいもん」
このとき、偏差値急落の原因がわかりました!
最近の中学受験生をみていると、ほんとうにYouTubeやコベツバなどの解説動画に頼る学習が増えています。
驚くことに、予習シリーズの全問解説をする社会常識のない講師もいます。四谷大塚に許可とりましたか?と著作権侵害の違法性を指摘したいですが、特に、この記事で訴えたいことではないので・・・。ただ、最近のSAPIXの保護者会では注意喚起がなされています。
動画授業は一見、手軽で効率的に思えます。
短時間で多くの情報を得られ、「わかりやすい」説明 に触れることができるからです。
しかし、この「わかりやすさ」 。
実は大きなデメリットが潜んでいます。
動画をただ眺めて理解したつもりになっても、自分の頭で考え、試行錯誤する力は育たないのです。
動画はあくまで「答えや解法パターンを与えるもの」です。「自分で頭をかかえて、悩みながら答えにたどりつく大切な経験」を奪ってしまう危険性があります。
いまの難関中学受験で問われているのは、答えをすばやく知ることではありません。初見の問題を前にして、どう考え、どう進めるかという「思考のプロセス」そのものを聞く問題が多い。
その大切な力を伸ばすためには、時間がかかっても、すぐに答えを見ずに、自分の手と頭を動かす経験が不可欠です。
動画授業は、うまく使えば心強い道具になります。…ですが、あくまで「自分で考える」学びが中心にあり、その補助的な位置づけで使うべきです。主軸にしてはいけません。
もっとふみこんで言ってしまうと、よくSAPIXや予習シリーズのテキストは「説明がわかりにくい」と言われていますよね?でも、わかりやすい説明なんて、本質的にはよくないんですよ。
「なんでこの式からこの考え方へ行くのだろう?」
すこし立ち止まって考える時間が必要です。
"・・・あー、苦しい・・・"
でも、ここで脳の前頭前野が働きはじめる。
(20分ほどかんがえて)『・・・あー、そうか!オレはなんてアホなことを考えていたんだ!』 このときに大量のドーパミンが放出されて、算数・数学が「快楽」になるんです。達成感とともに、ますますチカラがついていきます。
動画を利用するなら、その「使い方」に注意しましょう。
⚠️ 動画授業を全面否定する気はありません。私自身が数百もの解説動画を作ってきました。いまの所属先の「学びエイド」のように、著作権もクリアしてプロ映像授業講師として働いている方もたくさんいます。大変にすぐれた講義をしていらっしゃいます。
訪問トリミング中。大好きなお姉さんで満足するパピヨンくん。
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