もっとも尊敬していた算数の先生だった。
40年以上も前。
僕が生まれるまえからあった老舗の中学受験塾。
1つの教室でクラス分けはない。
学校のテストですらおぼつかない子から開成志望の偏差値70越えの生徒までいっしょにいて、しかも両方から「楽しい授業だった!」と成績を上げることができる授業。
今までたくさんの先生の授業を見てきたが、どの大手塾のエース講師でも、あのK先生の授業には及びもつかないだろう。
その塾の歴史が今月で終わる。
コスパやタイパばかりを求められるこの時代。
いまの忙しい中学受験生のように、がむしゃらにやらせる指導ではなく、テストは月にたった1回だけ。毎日の計算課題もなし。
のんびりとした昔ながらの寺子屋のような雰囲気だった。それでも、御三家合格者を毎年だし、勉強が苦手な子でもまさかの逆転合格をかなえてきたまさに奇跡のような塾。
もう、こんな塾は二度と出てこないだろうな。たくさんの指導方法を学ばせていただいた。
僕は指導歴23年。その2倍以上の指導経歴。
偉ぶるところなんて、微塵も感じさせない。
お話しをしていて、だれよりも刺激的で、嬉しかった。
「山本先生、いま差集め算の教え方を変えようと思っていてね、こんな教え方はどうかなあ?」と仰った言葉が耳朶から離れない。“……70歳近くになって、まだこの先生は指導をアップグレードしようとなさっているのか!完成したのかと思っていたのに、まだ前進するんだ!”と感動した。
また、お会いしたい。