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【店長のうんちくコラム その25・「コーヒーにちょい足し」を考える・ミルク編】
日本人にとってコーヒーに「ミルク」といえば、植物性油脂を使用したコーヒーミルク(ポーションに入ったものも多い)をイメージする方が若干多数派を占めるようですが、一方普段からカフェオレを飲んでいる方は牛乳を想像されるかもしれません。
そんな「ミルク」は、広義では「乳成分・もしくは乳成分に似せたものの入った商品」ということになるため、上記の牛乳やコーヒーミルク以外の乳製品もいくつかここに入ってきます。
軽いものから順に書き出すと、「スキムミルク」「牛乳」「コーヒーミルク・生クリーム」「バター」「エバミルク・コンデンスミルク」になります。
なぜコーヒーにミルクを入れるようになったのか、その起源は17世紀のフランスといわれており、もともと苦くて飲みづらかったコーヒーを飲みやすくする目的で当時の医師が牛乳を入れたそうです。
コーヒーにおけるミルクの役割の1つめはこのような「苦みの軽減」があります。
そしてもう一つ、意外と知られていないのが「酸味の軽減」です。
ざっくりとした説明になりますが、乳脂肪分(油脂分)が多いものをコーヒーに添加すると、酸味であれ苦みであれ、強い味わいを中和してくれるという効果があります。
また牛乳由来のたんぱく質は香りやうまみが豊富に含まれるため、苦みや酸味とのバランスをとる働きもします。
1.スキムミルク
健康のために普段から飲んでいる人も多い「スキムミルク(脱脂粉乳)」。
乳脂肪分を抜いて作られているため酸味や苦みの軽減効果が低く、さらにコーヒーの味わいを薄めてしまうことがあります。
そのため酸味・苦みが極端ではない中煎りくらいでしっかりとしたコクのあるコーヒーと合わせるのがおすすめです。
スキムミルク自体にほんのりとした甘みはあるのですが物足りないことも多いので、砂糖を加えてもとても味わいのバランスが良くなります。
特に未精製糖(カソナードや粉黒糖)と合わせると物足りなさがなくなり、バランスよく美味しく飲めますよ。
2.牛乳
カフェオレやカフェラテなどとして広く親しまれているコーヒーのパートナー「牛乳」。
コーヒーにちょい足しする乳製品の中では比較的ライトな味わいのため、使用するコーヒーの量よりも少ないと味わいがぼやけてしまうことがあります。
そのため牛乳を全体の50~70%程度使用すると美味しくなります。
使用するコーヒーは甘みがほしいときは中煎りのコクのあるもの、ビターな味わいが好きな場合は深煎り豆がおすすめです。
普段通りの抽出でも問題はないのですが、牛乳を多めにする場合は濃い目に淹れるのがおすすめです。
その際、2倍の濃さ強すぎるので、1.3~1,5倍ほどコーヒーを増やして入れると良いです。
ちなみに、カフェオレの起源とされているフランスでは、現在はあまりカフェオレが飲まれなくなってきているそうです。
3.コーヒーミルク・生クリーム
少量の使用でもコーヒーを薄めることなく、バランスよく味わえるものとして濃度調整されている油脂分豊富なコーヒーミルクは、コーヒー豆の煎り具合は浅煎りから深煎りまで何にでも使える万能ミルクです。
植物性油脂100%のものから、乳脂肪分を多く使用したものまで幅広くありますが、乳脂肪分を使用したものの方がよりミルクらしい香りが立ち、美味しく飲める傾向にあるそうです。
ただし、乳脂肪分が多いミルクや生クリームは賞味期限が短いため、気軽に使用しにくい傾向があります。
植物性油脂と聞くと「トランス脂肪酸」の心配があると言われますが、実は現在コーヒーミルクやマーガリンなどの製品はトランス脂肪酸対策をして加工されているものが多く、それらはバターなどよりもトランス脂肪酸が少ないといわれています。
コーヒーミルクは生クリームの代用として料理やお菓子にも使えるので、とても便利な商品です。
4.バター
コーヒーにバター?と思う方も多いと思いますが、実は海外では意外と一般的だったりします。
数年前に流行ったバターコーヒーは健康飲料として紹介されていたものですが、それ以前からコーヒーのアレンジ方法として広く知られていました。
香ばしく苦みの比較的強めのコーヒーに、「無塩バター」と蜂蜜を合わせて入れると不思議と違和感が無い美味しいアレンジコーヒーが出来上がります。
余談ですが、これは九段下にある「ミエル」という老舗カフェの名物メニューでもあります。
5.エバミルク・コンデンスミルク
無糖のものはエバミルク、加糖のものはコンデンスミルクと呼称が分けられている、いわゆる「練乳」です。
煮詰めたミルクは味が濃く、普通に淹れたコーヒーだとなかなか太刀打ちできないため、しっかり深煎りにしたコーヒーと合わせるのがおすすめです。
特に「ベトナムコーヒー」として有名な飲み方は、深煎り豆をさらに濃い目に淹れて、コンデンスミルクをたっぷり入れます。
スパイシーな食事の後などにおすすめの飲み方です。
6.番外編
豆乳やアーモンドミルクなどもちょい足しによく使われますが、乳成分とは違いコーヒーと相性が決して良いとは言えないため、合わせるときには工夫が必要になります。
これらはどうしても独特の香りが強く、飲みづらさを感じるときはコーヒーを濃い目に淹れたり、深煎り豆を選んだり、甘味を足すようにすると飲みやすくなります。
健康志向で甘みを足すことに抵抗がある場合、オリゴ糖など体に優しい甘味料を使うと良いと思います。
ちなみに、豆乳はコーヒーと合わせるときは無調整よりも調整豆乳の方が合いやすいですよ。