【店長のうんちくコラム その23・「コーヒーにちょい足し」を考える・砂糖編】 | 丸市珈琲~銀座駅前の隠れ家カフェ~

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おしゃべり好きな銀座のコーヒー屋店長が、仕事では伝えきれないコーヒーについての思いやうんちくや、たまにコーヒーとは関係ないネタ話などをアップします。
コーヒーとアソブ楽しさ、みなさんに届きますように。

先月からイートイン&テイクアウトメニューに登場した「マルベリーコーヒー」ですが、意外と20代の若い方がよく飲んでいってくれています。

甘酸っぱいマルベリー(桑の実)シロップにイルガチェフェの特殊水出しコーヒーを合わせたもの、という簡単な説明だけなのですが、最近の若者は面白そうなものはためらわずチャレンジする傾向があるのでしょうか。

嬉しい予想外でした。

販売は今月下旬くらいまでと考えていたのですが、今週末の寒さで今季休止するかもしれません。

ご注文はお早めに!

※「ベリーが入っているチョコレートのような印象ですよ」と説明すると伝わりやすいみたいです

 

 

【店長のうんちくコラム その23・「コーヒーにちょい足し」を考える・砂糖編】

コーヒーを美味しく飲むために、日本でも世界でもいろんなものをコーヒーに「ちょい足し」する文化があります。

ミルクや生クリーム、ラム酒などのリキュール類、最近ではフルーツジュースやハーブなどなど。

ちょい足し素材は多岐に渡りますが、その中でも代表格といえば皆さんご存じ「砂糖」です。

今回のコラムではその砂糖の種類とコーヒーとの相性をざっくり解説します。

 

そもそもなぜコーヒーと砂糖は相性がいいのでしょうか。

砂糖の主な役割は、糖分を接種したいという目的以外だと、「コーヒーの苦み軽減」がメインになります。

苦みのあるものに甘みを足すと、味覚でそれらが相殺しあうので、とても飲みやすくなります。

チョコレートと同じだと思うと分かりやすいのですが、カカオの割合が多ければ多いほど甘くなくなっていき、そして少し食べづらくなっていきます。

 

その反面、実は砂糖はそれ自体に酸味を持つため、特に酸味が強くさらに濃度が高いコーヒーほど砂糖を入れると飲みづらくなる傾向にあります。

その場合は酸味の中和性も持つミルクを入れるといいのですが、それについては次回「ミルク編」で書きますね。

 

砂糖は種類別に様々な名称(味)のものがありますが、ここではざっくり3種類に分けます。

 

1. 精製糖(分蜜糖)

白いグラニュー糖含め、ほとんどは精製されたお砂糖です。

原料の成分を結晶化させるまでの過程で“糖蜜”と呼ばれる成分を分離させているので「分蜜糖」とも呼ばれます。

糖蜜の特徴は、「原料(サトウキビやテンサイなど)の香りが強い」、「甘みは弱く辛味がある」、「黒くどろどろしており、濃度を増しても結晶化しづらい」という主に3つ挙げられます。

白い砂糖がサラサラしているのは、この糖蜜が除去されているからです。

 

また、「ブラウンシュガー」として売られている砂糖の多くは、精製糖に「カラメル色素(砂糖由来の色素)」を加えているものであり、未精製の砂糖ではないのです。

カラメル色素についてこれまで多くの質問を受けてきましたが、これは砂糖をそのまま熱するとできる色素成分で、うまく作ると「ほぼ無味・無臭」の「醤油色をしたもの」ができます。

これは中華料理ではよく煮込み料理(きれいな醤油色を付けたいときに)に使用するのですが、一般的に加工で使用されているものは「ほんのり甘く、ほんのり苦いもの」だそうです。

というわけで、茶色くても成分表に「カラメル色素」と書かれているものもほぼ精製糖になります。

しかし、味わい的にはまろやかさが加わることが多く、甘味が柔らかく感じる傾向にあります。

 

ちなみに、よく白い砂糖は「漂白されている」と聞くことが多いのですが、実際は精製過程で水酸化カルシウムが使用されているだけで、漂白剤は使われていません。

水酸化カルシウムは消毒に使われるくらいアルカリ性が強いのでどこかで誤解されたのかもしれません。

 

精製糖と相性の良いコーヒーは、クリアな味わいが特徴なものほど合います。

苦みの度合いは関係なく、シンプルですっきりとした、あまり複雑さや重さを感じないコーヒーがおすすめです。

当店でいうと「ブラジル樹上完熟」や「ドミニカ」がそれにあたります。

 

2.黒糖以外の未精製糖(含蜜糖)

個人的には「減蜜糖」と言いたいのですが、そういう言葉が存在しないので、ここでは黒糖以外の未精製糖とします。

含蜜糖というのは、糖蜜を含む砂糖のことで、その多くは糖蜜をある程度抜いて販売されています。

粉末黒糖ではない「キビ糖」や「和三盆」、フランスの「カソナード」がそれにあたります。

糖蜜が含まれているため、原料の香りが際立ち、甘さも柔らかく、ある程度糖蜜を抜いているため辛味もほとんど感じることがありません。

 

ミネラル分が豊富なので、コクや重さのあるコーヒーとの相性がよく、当店では「コロンビア」や「東ティモール」、「各種ブレンド」と合わせるのがおすすめです。

ブレンドは複数種類の豆を混ぜているため、シングルよりもコクが出やすいです。

 

ちなみに当店で販売しているフランス産の角砂糖「ペルーシュ」は茶色くても精製糖で、未精製糖はザラメ状の「カソナード」というもののみです。

そういえばカソナードはクレームブリュレの仕上げにカラメルとして使用されることで有名なので、口にしたことがある方も多いのでは。

 

 

〇黒糖・粉黒糖・黒蜜

これも含蜜糖ですが、その中でも糖蜜を分離させずに作った黒い砂糖が黒糖(黒砂糖)です。

特徴は何といっても原料の香りの強さと、味わいの複雑さ、控えめな甘みです。

糖蜜の特有の辛味を感じる人もいます。

それは黒糖100%の黒蜜を口に含むと分かりやすかったりします。

市販の黒蜜は黒糖にグラニュー糖をある程度混ぜて作りますが、黒糖100%のものも意外と多くあります。

 

しっかりコクのある砂糖のため、比較的焙煎度が高めのフルボディでコクのあるコーヒーやカフェオレと相性が良いです。

当店では「ケニア」や「こってりブレンド」、「タナ・トラジャ」がおすすめです。

塊の黒糖はコーヒーに溶けづらいため、その場合はお茶菓子のようにかじりながらコーヒーを飲むといいと思います。

しっかり溶かしたいときは粉黒糖がおすすめですよ。

 

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