【店長のうんちくコラム その22・焙煎方法の違いについて】 | 丸市珈琲~銀座駅前の隠れ家カフェ~

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おしゃべり好きな銀座のコーヒー屋店長が、仕事では伝えきれないコーヒーについての思いやうんちくや、たまにコーヒーとは関係ないネタ話などをアップします。
コーヒーとアソブ楽しさ、みなさんに届きますように。

ようやく涼しくなってきた東京ですが、11月に入っても最高気温25℃の日が続くそうで…

まだしばらくはアイスコーヒーが売れそうな気配です。

ちなみに数量限定で「エチオピア イルガチェフェ」を使ったアイスコーヒーもお出ししています。

出せて一日4杯程度ですが、もしワインのようなベリーのようなエキゾチックな香りを体験したい方はぜひお試しください。

 

もうご存じの方も多いかもしれませんが、四丁目交差点の和光の時計台が今ミッキーマウス仕様になっています。

思った以上に遠くて乱視のひどい私の肉眼では見えづらかったのですが、スマホのカメラの進化はすごくてアップにしても結構きれいに撮れていました。

11月18日までに期間限定なので、銀座にお越しの際はぜひ見上げてみてくださいね。

 

【店長のうんちくコラム その22・焙煎方法の違いについて】

「この場で焙煎できますか?」という質問が数年前から頻繁に聞かれることが多くなりました。

確かに昨今ではコーヒー専門店だけでなく無印良品などでも生豆をその場で焙煎するところが増えてきました。

当店も生豆を販売しているので、ご自身の好みに合わせて焙煎依頼ができると考えてしまうのでしょうか。

残念ながら当店ではその場で焙煎できないのですが、その理由も含め今回のコラムでは現在主流の焙煎方法をざっとご紹介します。

 

まず焙煎方法は規模別に3種類、熱源別に3種類存在すると言われています。

ざっくり解説になりますが、それぞれを見ていきます。

 

〇焙煎規模による違い3つ

1. 手焙煎(ハンドロースト)

機械を使わない手焙煎では、専用として売られている器具や手網(銀杏などを煎るようなもの)、ほうじ器(ほうじ茶を煎るもの)などを用います。

一度の焙煎は多くても生豆200gまでがほとんどで、熱源はコンロか七輪、キャンプで行う場合は焚火だったりもします。

温度管理がとても難しく、熱源の温度もなかなか一定にできないため、美味しく焙煎するというよりも「焙煎を楽しむ」ためのものという見方が主流です。

※何十年もかけてこの道を究めている方もいらっしゃいますが、本当に極まれな例です

 

2. 小型焙煎機(サンプルロースターなど)

回転する小型ドラムの中にコーヒー豆を入れ、ガスバーナーなどで焙煎する方法です。

手回しのものやモーター付きのものがありますが、200gから多くても500gの焙煎がメインになる器具。

コーヒーのカッピング(テイスティング)に使用することが多いため、「サンプルロースター」と呼ばれることもあります。

喫茶店で使用されることも意外に多く、少しお高いコーヒー豆を少量焙煎したいときなどにも使われます。

手焙煎よりも熱源が安定していますが、温度が早く上がりやすいのが多少ネックになっています。

 

3. 大型焙煎機

よくテレビやネットで見たことがある人もいらっしゃるかと思いますが、生豆を投入するドラムが中に入っている焙煎機本体に、冷却層や各種計器が付属されているものがこれにあたります。

一口に「大型」と言っても小さいものは500gから、大きなものになると数百キロも焙煎できるものがあります。

一般的に個人のカフェの場合は1キロ焙煎機~5キロ焙煎機、チェーン店や卸業をしているところは10キロ~50キロ焙煎機が多いです。

温度管理がしやすいこと、熱源が安定していることから、コーヒー専門店には欠かせない焙煎機です。

ちなみに南蛮屋では主に30キロ焙煎機を使用しています。(かつては20キロのものでした)

 

〇焙煎の熱源による違い3つ

1.ガス火・直火式

ガスの熱源を使用した「ガス火」焙煎が現在では圧倒的に主流です。

その中でも直火はガスの炎でコーヒー豆が入った回転ドラムを直接炙り焙煎します。

ロースト香(こうばしい香り)が立ちやすい手法ですが、焙煎機内の温度を上げやすく、生豆内の水分(渋みや雑味のもと)をしっかり飛ばしやすいです。

 

2.ガス火・熱風式

熱風式は加熱した空気を焙煎機内に送り込んで焙煎する方法です。

この方式ではコーヒー豆の内部になかなか火が入らないため直火式の方が良い、という意見が10年ほど前までは主流でしたが、熱風式焙煎機がかなり改善されてきていること、温度管理が直火式よりも厳密に行えること(コンピュータ制御も可能)、サードウェーブコーヒーの流行により浅煎り(酸味が強い)コーヒーが徐々に好まれてきていることなどから、あえて熱風式を採用するお店も多いです。

 

3.炭火・直火式

厳密に分けると炭火焙煎は「備長炭焙煎」「木炭焙煎」「ガス火とのハイブリッド焙煎」があるのですが、ここでは一括りに炭火焙煎にまとめます。

ちなみに当店は直火式の備長炭焙煎になります。

温度管理がとても難しく熟練した職人の技術が必要なのですが、遠赤外線が放出されることでコーヒー豆の内部から熱することが可能なため雑味が残留することが少なく、焙煎温度もガス火より低くすむため焦げ臭さがつくことも少なくなります。

反面、強い酸味や強い苦みが出しづらいため、まろやかな味わいになりやすい傾向にあります。

 

余談ですが炭火のような遠赤外を放出する「遠赤外線焙煎機」というものも存在します。

いわゆる暖房器具でよく見かける遠赤外線ヒーターを応用したものです。

 

さて焙煎方法についてざっくり解説してきましたが、当店の焙煎方法は「大型焙煎機」での「炭火・直火式」になります。

お店でその場で焙煎するためには「小型焙煎機」を使用する必要があり、その多くは「熱風式」になります。

簡単にいってしまうと、店頭での焙煎にしてしまうと理想とする味ではなくなってしまうからなのです。

もちろん自分好みの焙煎方法を選ぶ楽しさや、焙煎したてのコーヒーは酸化するまでの時間が長いことなど、その場で焙煎することでのメリットはたくさんあります。

ただ、僕らが提供するのは、歴代の焙煎士(今は三代目)が「この豆にはこの焙煎度が最も合う!」と判断し、理想に近づけるように努力の末に作り上げた味わいです。

つまり、「高品質に生産されたコーヒー豆」をただ味わうというよりも、「コーヒー豆の味+焙煎士の技術とセンス」を楽しんでほしいのです。

興味がある方はぜひ実際の焙煎の様子の動画をご覧ください。

ちなみに4:13あたりに、前々回の「選別」をテーマにしたコラムで書いた「空気(風)を使った選別」の様子が一瞬映りますよ。