【店長のうんちくコラム その17・焙煎度の基準の今と昔】 | 丸市珈琲~銀座駅前の隠れ家カフェ~

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おしゃべり好きな銀座のコーヒー屋店長が、仕事では伝えきれないコーヒーについての思いやうんちくや、たまにコーヒーとは関係ないネタ話などをアップします。
コーヒーとアソブ楽しさ、みなさんに届きますように。

夏の暑さが緩むという予報と、その後また暑さがぶり返すという予報に一喜一憂しているここ数日です。

メルマガを購読されている方はすでに読まれたかもしれないですが、この夏が暑すぎてホット向けのコーヒーがなかなか売れていない現状です。

そんな中、暑さもピークを過ぎたというのにイートイン&テイクアウトメニューに「クラフトコーラ」を載せました!イヒ

実はこのコーラに使用している炭酸水、いろんなものを試してベストマッチだったのが「サンペレグリノ」だったのですが、近所で買えるはずだった成城石井で一時期取り扱い休止していたためメニューに載せられないまま9月も下旬になってしまっていましたえーん

しっかりスパイシーを感じますが、サンペレグリノは強炭酸ではないので刺激柔らかく飲めますよ。

店長いちおしです!

※Lサイズのみ、テイクアウト432円/イートイン440円

 

【店長のうんちくコラム その17・焙煎度の基準の今と昔】

前回までの淹れ方のコツが「難しすぎる!」という言葉もいただきました…

もしなかなか分かりづらい時はコメントしていただくか、ぜひコーヒー教室を受講してくださいね!

 

というわけで、今回は軽い小ネタでいこうかと思います。

 

コーヒー業界が大きく変化している過渡期である現在、さまざまな“基準”も変化を見せています。

それこそ、コーヒーのカッピング(味わいを評価するためのテイスティング)で「苦み」という日本独自の判断基準が消滅したときはかなりの衝撃を受けました。(世界基準では、苦みは“焙煎によって後付けされた味わい”のため、コーヒー豆本来の味の評価にはあたらないとされています)

 

その中でも長くコーヒー屋に携わる者を困惑させているものの一つが“焙煎度”の基準です。

 

焙煎度とはコーヒーを煎る時間の長さにより変化するコーヒーの味わいを、ざっくり8段階に分けてお客様にお勧めする「目安」としているものです。

浅いものから順に、

ライトシナモンミディアムハイシティフルシティフレンチイタリアン

となり、それぞれに明確な味わいの違いが現れます。

実際に焙煎する現場ではより細分化されているのですが、自宅でコーヒーを楽しむ分には8段階でも多いくらいなので、その8段階をまた大まかに「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3段階に分けて、各コーヒー店ではまずはここからおすすめしているのですが…、これが今とても厄介な問題を引き起こしています。

古くから続くコーヒー屋と、最近できたばかりのコーヒー屋で、焙煎度の基準が大きくずれていることが頻繁に起こるようになったのです。

 

創業してからの年数が比較的長いコーヒー屋の多くは、焙煎度の基準が以下のようになります。

浅煎り=ライトシナモンミディアム

中煎り=ハイシティ

深煎り=フルシティフレンチイタリアン

 

「浅煎り」は味わいのバランス的に酸味が主体で苦みはごく弱く、「中煎り」は程よい酸味と苦みのバランスが良く、「深煎り」は苦みが主体で酸味がほぼ無い状態を表しています。

 

ところが、かつての昭和の一時期に訪れた酸味ブーム(アメリカンブームとも言われてます)の際に「酸味が無ければコーヒーじゃない」と言われていたことがあるのですが、そんな流れが再び到来しているかのような事態が現在では起こっています。

 

特にサードウェーブコーヒーやスペシャルティコーヒーに並々ならぬこだわりを持っている新しいお店ほど以下のような勧め方をします。

浅煎り=ライトシナモン

中煎り=ミディアム

深煎り=ハイ(もしくはハイ以上の焙煎度全て)

 

提示される焙煎度の多くは、「酸味を保持しているコーヒーの中での基準」であり、酸味がないものは基準外という扱いも見受けます。

これについてとあるコーヒー屋さんでこの基準について質問したところ、単純明快な答えが返ってきました。

「“ミディアム”だから中煎りで、“ハイ”だから深煎りです」

そうかぁ…とその場では納得せざるをえなかったのを覚えています。

実際に昭和の一時期は浅煎りコーヒーが主体で、アメリカ(かつては浅煎りばかりを好む文化でした)の基準に従っていたため、実はフルシティ(通称ジャーマンロースト)・フレンチ・イタリアンは「ヨーロピアン」というくくりで別物とされていたことがありました。※現在の浅煎りブームの発端は北欧でのブームからきています

その後、深煎りを見直す動きがあり現在に至っていたはずなのですが、長年コーヒーに携わっている人間にとってはまた時代が戻って来ている感覚に陥ります。

 

ちなみに全ての焙煎度を網羅しているコーヒー屋はあまりないので、皆さんも初めて行くコーヒー屋ではどんな味わいがそのお店の得意としているか聞いたり調べたりするといいかもしれません。

浅煎りが得意だったり、深煎りが得意だったり、それがお店の特色に現れます。

その中でも「中煎り」を希望するときは、酸っぱいものから酸味のあまりないものまでお店ごとに全く異なるタイプのものを勧められるので要注意です。

ちなみに当店の中煎りは炭火焙煎の特徴から、「酸味控えめ、コク・苦みがほどほど」という飲みやすいものになります。