住宅編 第18回 相続した実家の売却で損をしないために(空き家にかかる譲渡所得の特別控除) | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

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中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

 JR中央線のとある駅から徒歩7分程、古家付きの土地売買のお手伝いをしたときのことです。敷地面積もまずまずあって査定価格は1億円を超えます。当然、仲介業者としては、「少しでも高い金額で」と思う訳ですが、営業活動を始めてしばらくした頃に売主さんから「価格は1億円を超えないように」との連絡が入ります。

 

 その家は、売主さんが相続で取得した実家(空き家)で、「被相続人の居住用財産に係る特別控除の特例」の適用を受けるための要件の一つが「譲渡金額は1億円以下」だったのです。

 

 この特例の適用が受けられると「譲渡所得の金額から最高3,000万円の控除が受けられる」というもので、長期譲渡(所有期間5年以上)の場合でも、適用税率は所得税(復興特別所得税含む)、住民税合わせて、20.315%です。3000万円の控除があるかないかで、納める税額は、約610万円も違ってくるということになります。ですので、「1億200万円」とかで売却するよりも、1億円で売却したほうが「手残りが多い」ことになります。

 

 要件の詳細については、ここでは触れませんが、「空き家になったご実家を売却する予定」「売却査定金額が1億円前後」といった微妙な時には、特例の適用についてよく確認されることをお薦めします。大都市、地方中核都市に実家がある方は、該当するかもしれませんね。

 

 このケースではお客様からの申し出があって事なきを得ましたが、気づかないまま1億円超の価格で商談をまとめていたら、かえって不利益を与える結果になっていたでしょう。普段から「顧客利益を第一に」と考えている自分にとって、不勉強を恥じた出来事でした。