住宅編 第19回 土地の資産価値を見極める(失敗しない土地選び) | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

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中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

 人口減少が進む日本においては、地域による格差が進む。

 東京都心部の価格上昇が続いているエリア(これは特に分譲マンションの高騰という形で表れている)、価格の変動幅は小さいが、取引が成立するエリア、そして、取引がまず成立しないエリアが存在する。

 これを「三極化」と呼ぶ人もいるが、いずれにしても、高度経済成長期や90年代バブルの時のように、日本全国の地価が上昇するということはない。

 

 簡単に言ってしまえば、不動産の価格は人気投票である。住みたい人、使いたい人がたくさんいれば、価格は上がるし、そうでなければ下がる。私のような田舎育ちの人間が、いくら故郷に郷愁を持とうと、住む人が減少することで、空き家が増え、家も畑も買い手がつかないままとなる。

 したがって、一般論としての「失敗しない土地選び」は、住宅地であれば「住まい手」、商業地であれば、「テナント」から見て魅力的な場所であることが、条件となる。現在は、ちょこっとググれば、人口に関する調査データは簡単に調べることができる。

 

 では、とにかく「人気エリア」で購入すれば良いかというと、別の視点からの見方も必要だ。人気エリアであっても、この先の状況次第では資産価値が下がってしまうことがあるからだ。

 

 世に言う限界集落といわれる村には、タダ同然で移住者誘致をしているところもある。タダ同然で取得した「これ以上下がりようがない物件」なのだから、損失を被ることもない。

 

 注意すべきはむしろ、都会での、つまりどちらかというと人気エリアでの取得だ。「人気エリアから不人気エリアに転じる可能性があること」そして「相場より割高な物件を買ってしまうリスクがあること」がその理由だ。

 

 前者においては、1980年代後半に、夢のマイホームともてはやされた、ニュータウンの物件が思い起こされる。

 90年代の不動産バブル崩壊によって、大きく価格を下げることになったのは、他の地域でも同様であったが、都心に近い物件、駅近の物件が、その後地価を回復していったのに対し、郊外でバス便のニュータウン物件の地価は下落したままだ。居住者も減少し、街の維持そのものが問題になっているところさえある。

 

 後者については、不動産会社とは異なり、情報量が限られる「一般の購入者」が、割高な物件だとは知らずに、購入してしまうケースがあることだ。バブル崩壊ほどの激変ではないかもしれないが、2割~3割も高いといった事例は、珍しくない。

 

 地方においては、「郊外への商業集積に伴い、古い駅前商店街のシャッター通り化が進行」「新たな道路の開通や学校などの施設移転で、それまでの中心市街地が急激に衰退」ということがそこここで起きている。

 

 経済環境の変化、生活スタイルの変化により、「人気エリア」から「不人気エリア」に所在することになってしまう物件、本来の価値に見合わない割高物件、いずれも「含み損」を抱えて、それは売却時に表面化することになる。

 

 不動産会社、営業マンは、基本的に「取引をまとめること」に懸命だ。別の言い方をすれば「物件の良し悪し関係なく」購入を勧めてくる。不動産会社まかせにすることなく、地域を取り巻く環境変化について、アンテナを張っておくことが重要だ。