住宅編 第9回 断熱性・気密性の性能基準 | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

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中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

断熱性や気密性の性能を図る指標として、以下ご紹介いたします。

 

■UA値

 住宅性能を表す数値の1つである「UA値」は、住宅内の熱の逃げやすさを示す値である「外皮平均熱貫流率」のことをいう。外皮とは、「屋根や外壁、床、窓やドア等の開口部など建物の表面」のことをいう。

 

 熱は、高いところから低いところへと移動する性質があり、UA値は、住宅内部と外部の温度差が1度あるときに、内部から外皮を伝わって、外部へと逃げる熱量の合計を外皮面積で割った数値で、UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能、省エネルギー性能が高い住宅といえる。2013年の省エネ基準改正から、Q値にかわる指標として、UA値が用いられるようになった。

 UA値は、「建物の熱損失量の合計÷延べ外皮面積」という計算式で求められる。つまりUA値は、外皮(建物を表面)1㎡当たりで、平均して何ワットの熱が逃げるかを算出しており、換気による熱損失は考慮していない。

 

■ZEH(ゼッチ)

 「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略称で、快適な室内環境を保ちながら、住宅の高断熱化と高効率設備によりできる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電等によりエネルギーを創ることで、1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅」のことである。ZEHが定める基準の1つとして、UA値が用いられ、ZEHでは、H28省エネ基準よりもワンランク上のUA値の基準を定めている。

 

■HEAT(ヒート)20

 HEAT20とは、「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称である。HEAT20では、より快適に暮らすために断熱性能の基準値を定め、G1やG2などのランクで評価している。

 ZEHが、断熱性能だけでなく、太陽光などの創エネ設備や省エネルギー冷暖房設備を合わせた複合的な基準なのに対し、HEAT20の基準は目指すべき断熱性能)のみを地域ごとに定めたものである。HEAT20も断熱性の高さを示す数値として、UA値を用いる。HEAT20では、ZEHよりもさらに高い(厳しい)UA値基準となっている。つまり、求める断熱性能(UA値の厳しさ)は、H28省エネ基準、ZEH、HEAT20の順に高くなる。

 

■ C値

 C値とは「相当隙間面積」のことで、住宅全体にどれくらい隙間があるか、すなわち気密性能がどの程度かを示す数値である。C値が小さいほど隙間が少なく、「気密性の高い住宅」ということになる。気密性の高い住宅は、内部の暖まった空気が外へ流れ出にくく、外気も入ってきにくいというメリットがあり、断熱性能を示すUA値と同様に住みやすさや省エネに大きく関係する。

 C値は、どのくらいの空気が室内から外部へ流出するのかを住宅の床面積で割って算出する(算式は「C値=住宅全体の隙間面積÷延べ床面積」)。値が小さいほど隙間が少なく、気密性能が高いことを表す。C値は、実際に1棟1棟測定して算出する。

 

■Q値

 Q値は、以前使われていた断熱性能を表す数値で「熱損失係数」のことである。Q値は、住宅全体の熱がどれくらい逃げやすいかを表し、Q値が小さいほど熱が逃げにくく、「断熱性能の高い住宅」といえる。換気による熱の損失を含む点と、建物の延べ床面積のみで算出する点がUA値と異なり、算出方法、評価ともに違いがある。2013年の省エネ基準改正により、Q値に代わってUA値が用いられるようになったが、今でも活用しているハウスメーカー等が存在する。

 「Q値=(各部の熱損失量の合計+換気による熱損失量の合計)÷延べ床面積」という計算式で求める。建物の中と外の温度を1度と仮定したときに、1時間当たりにどれくらいの熱量が住宅内部から外部へと逃げていくかを計算により求める。