住宅編 第10回 住宅性能表示制度 | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

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中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

 住宅性能表示制度は、平成12年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づきスタートしました。

 表示項目は、①構造の安定、②火災時の安全、③劣化の軽減、④維持管理更新への配慮、⑤温熱環境、⑥空気環境、⑦光・視環境、⑧音環境、⑨高齢者等への配慮、⑩防犯の10分野(既存住宅については、⑧の音環境を除く9分野)である。「調査時点での性能を等級で示すもの」です。

 

 一般社団法人住宅性能評価・表示協会のウェブサイトには次のように記されています。

 

■新築住宅の性能表示制度について

 自動車やコンピュータなどを購入する場合は、性能を比較して選びます。これらの製品の場合、カタログに馬力や排気量、CPU速度やハードディスク容量など、比較できる情報が書かれており、比較検討が簡単です。

 住宅の場合でも、「地震に強い家」「省エネの家」など、その住宅の特徴が書かれていることがありますが、これらの性能は、ハウスメーカーや販売会社によって「強さ」や「省エネ」の定義が異なっていることが多く、比較が困難でした。

 しかし、新築住宅の性能表示制度を使って建設された住宅であれば、住宅の性能が同じ基準で評価されているので、性能の比較が可能になります。

 

■既存住宅の性能表示制度について

 既存住宅の住宅性能表示制度は、既存住宅売買の当事者間で物件情報を共有化し、契約の透明化と円滑化を目的の一つとしています。

 既存住宅を売買するとき、住宅の現況(家の劣化の状況や不具合)、さらに、持っている性能が分かれば、安心・納得して売買できます。

 

 参考までに、令和3年度の新築住宅における設計住宅性能評価書の交付率は、戸建て住宅が30.9%、共同住宅等が25.5%です。

 

 性能表示における等級だけが住みやすさの基準ではないし、また、ある性能を上げることにより他の性能や暮らしやすさを低下させる場合もあります。例えば、窓を大きくして、明るく開放的な空間は、生活する上での満足度を上げることになりますが、省エネルギーの面や耐震性において、不利な方向に働くことも珍しくありません。

 

 重要なことは、新築したり購入したりする住宅が、どのような性能を持つ住宅であるかを把握することであり、また、住まい手が望む暮らし方を実現できることだと思います。

 もちろん、一部の性能レベルが低いことにより、その「住宅の経済的評価」を毀損させることがあることも留意しておかなければなりません。また、住宅の性能を示す指標は、住宅性能評価の等級以外にもいいろいろあります。

 中古住宅が当たり前に流通するようになれば、建物の品質に対しても買い手の厳しい目が注がれるようになります。欧米のように、建物の良しあしが住宅の資産価値を決める時代が目の前に来ています。そのことを念頭に、制度を賢く利用していきたいものです。

 

■ 参考URL

  • 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」のポイント(国土交通省)➡ https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/070628pamphlet-law-point.pdf
  • 一般社団法人「住宅性能評価・表示協会」➡ https://www.hyoukakyoukai.or.jp/
  • 性能向上リノベの会 ➡ URL:https://pireno.ykkap.co.jp/