住宅編 第3回 この部屋は何畳ですか? | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

 私は、若い頃、分譲マンションや戸建注文住宅の営業マンでしたが、モデルルームを案内していて、必ず出るのが「この部屋は何畳ですか」という質問です。図面にも各部屋の畳数が表示されています。近頃は、和室がない住宅が主流になりつつあると思いますが、そこは日本人、畳の枚数と広さの感覚が染みついています。

 

 では、畳の広さをご存じでしょうか。畳がないのに「リビングダイニング20畳」とかの表示があるのはなぜでしょう。

 

 実は、畳は地域によってサイズが異なります。例えば、関西で一般的な京間(関西間)は、6尺3寸×3尺1寸5分(191×95.5㎝)、1.82405㎡、関東で一般的な江戸間は、5尺8寸×3尺1寸5分(176㎝cm×88㎝)1.5488㎡、そして、中京地方に多い中京間は、6尺×3尺(182㎝×91㎝)1.6562㎡です。これだけでもややこしいのに、公団住宅で採用されて広まった、さらに一回り小さい団地サイズ(5尺6寸×2尺8寸、170㎝×85㎝)があり、一部地域ではまた違うサイズの畳が使われています。ちなみに、「1尺=10寸=100分=30.303㎝」です。

 

 さて、部屋の広さに話を戻しましょう。東京のマンションや一戸建の6畳の部屋は、江戸間サイズの1.5488㎡×6枚分で、9.2928㎡かというと違います。もちろん、昔ながらの建て方をしている日本家屋なら9.2928㎡となるとは思いますが…。

 

 設計には「グリッド(grid)」という考え方があります。グリッドとは、格子とか碁盤目という意味です。設計する際、多くの場合、このグリッド単位で長さを決めていくのです。そして、ほとんどの戸建住宅では、3尺(91㎝)のグリッドを用います。

 

 日常生活では使われなくなった尺貫法が、建築の世界では生きていることに驚きますが、その理由は、国内で流通する建材のほとんどが、今も尺を基準に加工されていることによります。柱の長さが3尺(2m73㎝)なのに2m60㎝を使用する設計をしてしまうと13㎝を捨てることになるし、3m必要な設計にすると、特注サイズの柱が必要となってしまいます。要するに、規格サイズにした方が「無駄がない」「効率的」ということなのです。

 

 そのことを確かめる簡単な方法があります。ホームセンターに行ってみれば、材木は、45.5㎝、91㎝、182㎝、273㎝というサイズで、多くのカーテン(窓の大きさに合わせる)や家具(壁の大きさに合わせる)は、一回り小さく、180㎝や90㎝でつくられています。

 

 ところで、3尺(91㎝)は、中京間の畳の短い方の長さです。そして、思い出して下さい、「畳は、柱や壁の内側に納まっている」ということを。

 ということは、91㎝のグリッドで設計した6畳の部屋は、273㎝×364㎝ですが、これは壁の中心から中心までの長さです。つまり、この6畳の部屋に畳を敷くと、壁の厚みがあるので中京間の畳は入りません。では、どうするか。

 

 仮に壁の中心から、内壁の仕上り面まで6㎝あるとすると、内法の寸法は、6畳の短辺で261㎝(273㎝−12㎝)を3分割した短辺が87㎝の畳を入れるということで解決。つまり、畳のサイズは、部屋の長さと壁の厚みできまるということなのです。もっと簡単にいうと、「畳は、部屋の有効面積に合わせていかようにも作ります!」となります。各部屋の広さを比較するときは、畳数ではなく平方メートルで行う方が正確にできるできるでしょう。

 

 ちなみに、洋室の畳数を求めるときは、「壁芯から壁芯までの長さ」を基に求めた面積を1.6562㎡で割って表示するのが一般的です。したがって、一般的に木造よりも壁が厚く、柱のでっぱりなどもあるマンションの方が、同じ畳数でも有効面積が小さいことが多くなります。

 

■この部屋の畳数と有効(内法)面積は?