AIIB(アジアインフラ投資銀行) | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。


 イギリスのAIIB参加表明を契機に、ドイツ、フランス、イタリアなども続々と参加表明するなど、日本金融業界では驚きと受け止められており、ちょっとした騒動となっている。

中国が主導する 「アジアインフラ投資銀行」 ビジョンもガバナンスもなき実態

上記の記事は、アジア開発銀行の特別顧問をしていた 、AIIBの目的は、アジアのインフラ建設や、インフラを通じた各国間の物理的な連結性を強化し、経済発展を支援するというものだ。AIIB設立の動きはインフラ資金を必要とするアジアの新興国・
途上国の間で歓迎されている。


米国が警戒しているのは、中国がインフラ投資を通じて、アジア諸国を取り込み、陸のシルクロード、海のシルクロードなど中国の勢力圏づくりにAIIBを利用しようとするのではないかと疑信しているからだ。AIIBの設立は既存の国際金融秩序に挑戦するものだとも認識されている。

中国は、AIIB設立の基本的な考え方は、「既存の国際金融機関では、それらを主導する欧米諸国の
意向が強く反映されて、必要な改革ができないので、新たな国際機関を設立することが必要だ」と説明。
AIIBは、アジアのインフラ建設に必要な長期資金を供給する一方、貧困削減は世銀やADBの仕事だと
している。

しかしAIIBが効果的に機能するためには、懸念されるいくつかの問題点を解決する必要がある。

①ビジョン・理念

 AIIBは、「貧困削減」の使命を世銀やADBに委ねるとしつつ、それに代わるビジョンを提示していない。
インフラの構築、連結性の強化、経済発展は究極の目的を実現するための手段に過ぎず、インフラを
通してどのようなアジアを実現させようとしているのか、明らかでない。


②ガバナンス

(1)出資比率は各国の国内総生産(GDP)に応じて決められることから、中国が最大の出資国になり、その議決権シェアは最大50%と突出して大きくなろう。

(2)また常駐の理事による日常的な業務のチェックや融資案件ごとの可否の判定は行わない。

常駐の理事を置かない方式は、アジアの各加盟国間で政治的な意図が共有できず、インフラ支援の優先度が大きく異なる可能性もある。そのため、プロジェクト案件ごとの、各国代表者による頻繁なチェック・ア ンド・バランスが必要になるはずだ。


 ガバナンス面での配慮がなければ、中国は総裁と本部をともに手にし、資本の半分ほどを拠出するだけで、みずから好む国にみずから望むインフラ支援を、援助予算総額を増やさずに援助効果を倍増させかつAIIBを対アジア外交強化のために用いることができるのである。中国の議決権シェアを50%よりもはるかに低い水準に設定し、かつ本部に常駐の理事を置くべきだ。


③融資政策・条件
 世銀やADBの融資決定プロセスが遅いと批判していることから、世銀やADBほどには、これらの問題を重視しない可能性がある。

インフラ事業は自然環境や生態系に対し大きな影響を与えることがあり、かつ住民の立ち退きの問題がある。これらの面で問題が生じると、インフラプロジェクトがストップに追い込まれうるだけでなく、国際機関としての評価・名声にも傷がつく。

インフラ事業の調達はしばしば腐敗・汚職の温床となり、その防止のために、透明性の高い入札ルール
を導入することが必要だ。

④ドナー(資金提供者)間の協調
 援助の効果を高めるためには、新興国・途上国政府自身が主体性をもって、経済発展のための戦略をたてることが重要だが、加えて、ドナー間の協調が有用であることが知られている。


国際金融機関や二国間援助機関などドナー間の協調は、受け手である新興国・途上国にとって、取引コストを削減し、重複を避け、相乗効果(シナジー)を生み出すというメリットがある。


深刻な問題は、AIIBがベストプラクティス以下の基準でインフラ融資を競い、世銀やADBからインフラプロジェクトを奪っていく可能性があることだ。そのことは世銀・ADBの融資政策の基準の引き下げ圧力につながりうる。

そうした観点から、AIIBは世銀、ADBなどと協調しつつ、加盟国のインフラプロジェクト支援を行っていくべきだ。それに加えて、AIIBは経済 協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と協調していくことが望ましい。開発援助委員会は、世界的な視野から、新興国・途上国への経済援助の情報を共有したり、国際的なベストプラクティスに則った援助政策の共有をめざすものである。


AIIBに懸念される事項としては上記のような事が挙げられるようです。


 これに日本も参加するかどうかという点が気になりますが、これについて高橋洋一氏によれば、レームダック化しているアメリカ オバマ政権の隙をついて、中国はまずオバマ政権とあまり仲が良くないイギリス連邦の切り崩しに入りこれを成功させる。

イギリス連邦を切り崩すことでオーストラリア・カナダ・ニュージランドといった国へも参加を促すことになる。イギリスを切り崩したことで、中国側の勝利といえ、日本も(条件次第で)おそらくこれに参加することになるだろういう見解。


日本は数日前まで菅官房長官・麻生財務大臣・安倍首相と参加に慎重の姿勢を見せていたが、昨日麻生大臣が態度を一転し、参加についても検討するような姿勢になってきています。これについてAIIBを中からコントロールするほうが良いのではなかろうか、という考えもある。


中国は人民元の基軸通貨化へ王手をかけいよいよ現実になるのか、はたまたたちゆかぬ経済が原因で習政権が先に倒れるのか、何かと中国の動向から目が離せません。