デフレーションがどうして良くないのか その1 | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。





 

 デフレは経済を停滞させるものとして問題視されている。今回はデフレが経済にもたらす悪循環を整理してみました。デフレがもたらすリスクを端的に挙げる なら①就職先が見つからない②正社員も明日にはリストラを言い渡されるかねない、という点にある。これが長引けば経済は疲弊し、世間では失業者であふれる ことになる。


【定義】
 デフレは経済学者の間で解釈が多数存在する。経済学者の間で概ね一致している理解は、単に物価の継続的な下落にとどまらず経済の悪化を同時に伴うというものである。

・例えば、デフレで物価が継続的に下落した場合、1万円をもっているとする。

 1万円では100円のポテトチップが100袋買えますが、これが物価下落で50円で買えるようになれば倍の200袋買えるようになります。貨幣の価値はあがっていることから、同じお金で多くの物を安く買える。そのため、デフレは”お得”だと直感的に感じます。

では、なぜ ”お得”に感じるデフレが経済学では悪といものとされるのか?


  ⇒お得と感じてしまう反面、デフレは認識しにくいデメリットを内包しているからです。



【デフレで利益を享受できる層】

名目賃金が固定している者※正社員で固定給料を確実に受け取ることができる層


②国債などの債券を保有している者は、(高利回り)債券の価格が上昇して利益となる。

※①について「デフレは椅子取りゲーム」と表現し、「正規雇用という安定した『椅子』に座り収入がある人にとって、物価が安くなって歓迎すべき状態になっている」と指摘している。

①の層、正規雇用の立場にあり安定した収入を持っている人達にとっては前述で触れたように同額の給与でも物価下落により貨幣価値があがることで買える物が増えるため、デフレがどう自分に悪い影響があるのか実感しにくいと考えられそうです。

失職する恐れが無く、安定した賃金を将来にわたって確保できる人にとっては、デフレを解消し政策的にリフレを実行するアベノミクスなどはいい迷惑に見えるのかもしれません。しかし理解をすすめるとそうではないことが分かってきます。

 
【デフレで不利益を被る層、あるいはこれから不利益を受ける可能性に晒される層】

①失業者、あるいは現在は正社員でも潜在的に増大する失業リスクに晒される正規雇用者


 正社員として安定した収入がある限りはデフレで利益を享受できる。しかし、デフレ下ではそうした者も明日には失職しているリスクが日に日に大きく増大している。これは正社員でいる限りは実感しにくいことだと思います。もし自分がリストラの憂き目にあった場合は、昨日までとは真逆の立場においやられるリスクがあります。

そもそもデフレで正社員から失業するという事自体をイメージしにくい

 イメージしやすように、雇い主からの視点で考えると、

正社員=給与はそうそう下げられない → デフレ下においても同額の給与を支給される

  ↓

製造販売する商品が単価の下落で、これまでと同数を売っても売上が落ち込み収益が減収。

  ↓

収益が減収するが人件費はこれまでと同様に支払わないといけないことから、製品にしめる人件費の割合が高くなる。人件費圧縮のため雇用主はリストラして正社員の数を減らそうとする。 ⇒正社員の者も失業するリスクが増大する
  ↓
一方パートを雇った場合、パートの賃金はその時の経済を考慮したものが反映されるためパートへ払う賃金はデフレ下であれば払う賃金は安い。景気を考慮せず同額の給与を払う正社員と比べるとパートを雇うほうが人件費を抑えることができる。そのため正社員をリストラして、パートを雇うインセンティブが経営者側で働き、正社員も失業リスクが増大することになる。


 失業してしまった人や、雇用環境の悪化就職先を見つけることができなかったものはパートとして低賃金で働かなければならなくなる。正社員の収入を前提と した借り入れがあったり家族を養わないといけないものは、リストラの不安を抱えながら働かなければいけなくなる。そうした負のスパイラルがデフレという目 に見えにくい経済現象なのである。