電波バトル0、原子力発電を推進する口実
原子力発電が最も積極的に推進されていたのは1960年代から1980年代半ばくらいまでだと思います。チェルノブイリ原子力発電所の事故が1986年なので、それ以前は原子力発電所の事故の危険性が十分には認識されていなかったこともありますが、ローマクラブという組織が1972年に発表した「成長の限界」というレポートも、原子力発電を推進する有力な根拠となっていたと思われます。
「成長の限界」は、将来、人口の増加に対して必要とされる資源が不足し、成長の限界が訪れることを警告したレポートで、エネルギー問題においては石油の不足が最も懸念され、これが原子力発電を積極的に推進する有力な根拠とされていたようです。
ところが、昨日書いたように、原子力発電を最も積極的に利用しているフランスで石油の消費量は減っておらず、原子力発電を増やしても石油の消費は減らないことが明らかになり、また、チェルノブイリ原子力発電所の事故によって原子力発電の危険性も広く知られるようになり、1980年代後半からは脱原発、反原発の潮流が大きくなりました。
このような潮流の中、新たに出てきたのが「二酸化炭素の増加により地球の温暖化が進んでいるので、化石燃料の消費を減らさなければならない」という説です。この説は、1988年にアメリカのジェームス・ハンセンという人が言い出して、急速に広まり、1992年のリオデジャネイロでの地球サミット、1997年の京都議定書の採択などにより、世界的に強い影響力を持つようになりました。
データブックの「おもな国のエネルギー生産と消費」という表には、1次エネルギー消費量という項目の中に固体燃料、液体燃料、ガスという項目があります。これらの3つの項目はそれぞれ石炭、石油、天然ガスが大部分を占め、大まかな議論では、それらに読み替えても差し支えないと思います。
この表のドイツ、イギリス、フランスに注目して見ると、一人あたりの石油の消費量は昨日の日記に書いたように、原子力発電を最も多く利用しているフランスが一番多いのですが、石炭、天然ガス及び、化石燃料合計で見ると、フランスはドイツやイギリスに比べて一人あたりの消費量が少なくなっているのがわかります。
このデータによれば、「原子力発電は石油の消費量を減らす役には立たないが、化石燃料全体の消費量を減らし、二酸化炭素の排出量を、多少削減する事には役立つ」と結論付けることは、出来なくはないと思います。
フランスの化石燃料の消費量がドイツやイギリスに比べて少ない理由が原子力発電によるものかどうかを確かめるためには、もっと詳細で厳密な考察が必要ですが、原子力発電を推進する口実としては、従来の「石油が枯渇するのを防ぐため」よりも「化石燃料の消費を減らし、二酸化炭素の排出を抑制して地球温暖化を防ぐため」と言う方が都合が良いのは間違いないでしょう。
もちろん、原子力発電を推進するために地球温暖化説が捏造された、とまでは言いませんが、多くの疑問や反論のある、二酸化炭素により地球が温暖化している、という仮説を、さも科学的に立証された事実であるかのように喧伝し、批判や反論を圧殺しようとするのは、この仮説が原子力発電を推進するための口実として、また、太陽光発電や風力発電、エコカーやエコグッズでお金を稼ごう、儲けようと考えている人達と、それらの人達とつるんで甘い汁を吸っている御用学者達にとって大変重要なものだからなのでしょう。
地球温暖化説に反する意見がどのように抹殺されているかがわかります。
地球温暖化説に批判的な意見を抹殺しようとしている人たちを相手に、裁判というド真ん中直球勝負で戦っておられます。頭が下がります。
科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている (宝島社新書)
面白い内容の本です。前半の地球温暖化説に対する批判は読み応えがあります。後半は社会政策的なことを書いておられますが、こちらはあまり賛成できない記述が多いです。
電波バトル-1、石油と原子力発電(フランス編)
この理屈だと、原子力発電をすればその分、石油の消費は少なくてすむはずです。そこで、世界で最も原子力発電に積極的で、電力の約80%を原子力によってまかなっているフランスを見てみましょう。
データブック・オブ・ザ・ワールド2010(以後データブックと略します)によれば、フランスの年間原油消費量は8560万トンで、日本は20730万トンなので、日本の四割強です。しかし、フランスの人口は日本の五割弱なので、一人あたりに直すとフランスは1405kg、日本は1623kgとなり、フランスは日本より13.43%ほど少ないことになります。
しかし、データブックの「おもな国の原油の消費量と自給率」という表によれば、一人あたりの年間原油消費量は、ドイツは1391kg、イギリスは1333kgとなっており、両国とも原子力発電をより多く利用しているフランスよりも小さい値となっています。
ちなみに一人あたり年間原油消費量の世 界平均は575kgで日本の約三分の一、表に記載されている国の中で最も少ない国はインドで120kg、日本の十三分の一以下です。
統計データを見る限り、原子力発電を推進する事と石油の消費量を減らす事とは、あまり関係が無いように思えます。
