今日は前回に続いて指値の検討を行います。
まず、前回の検証結果から
・指値は-4%以下で設定することが望ましい
ということがわかりました。
今回は-10%~-4%の指値について比較検討してみたいと思います。
その検討に必要な概念が相場環境のまとまりを示す“相場のステージ”です。
相場のステージは一言でいうと、
『相場参加者の売買パターンの傾向が同じ期間”のまとまり』です。
本テーマ記事の中では検証期間の2000年以降を年単位で以下のように定義します。
2000年~2002年 1ステージ
2003年~2005年 2ステージ
2006年~2008年 3ステージ
2009年~2012年 4ステージ
2013年~ 5ステージ
まず、ステージの期間の決定については重要な2つの要素があります。
それは、相場のトレンドと、出来高の増減です。
まず、相場のトレンドを見てみましょう。
下記は新興指数の代表ともいえるJASDAQ平均株価の20年チャートです。
このチャートと合わせてみると
2000年~2002年 1ステージ 下落相場
2003年~2006年 2ステージ 上昇相場
2006年~2008年 3ステージ 下落相場
2009年~2012年 4ステージ ボックス相場
2013~ 5ステージ 上昇相場
とおおよそ合致しているということがわかります。
売買ルールによっては、
上昇相場に強い⇔ボックス相場・下落相場に弱い
下落相場に強い⇔ボックス相場・上昇相場に弱い
といったものも多くありますので、どのようなタイプのルールかステージ毎に観察します。
特に上昇相場と下落相場は交互に来ることが多いので、現行の5ステージの次の6ステージは下落相場が来る可能性が私は高いとみており、下落ステージである1・3ステージでも売買ルールが問題なく機能しているか(利益を上げられているか)を重視しています。
次に重要なのが出来高の増減です。
下記は新興寄り引けルールの年別サマリーです。
トレード回数=勝ち数+負け数+引き分け数です。
赤枠は3~5万トレードあるのに対し、青枠は15000トレード以下になっており、赤枠と青枠でトレード回数に明らかに違いがあるのがわかります。
これは、売買ルールの条件の中に
・当日売買代金が1億円以上
・平均売買代金(過去30日間)が1億円以上
といった項目があるため、売買代金の少ない銘柄はトレード対象からは除外されます。
よって、トレード回数が少ない年は、全体的に出来高(売買代金)が少ない年、赤枠は全体的に出来高の多かった年だといえます。
ステージに当てはめると
2000年~2002年 1ステージ 出来高少ない
2003年~2005年 2ステージ 出来高多い
2006年~2008年 3ステージ 出来高多い
2009年~2012年 4ステージ 出来高少ない
2013~ 5ステージ 出来高多い
となっています。
このような出来高の増減は、“相場の参加者数“や”相場への過熱度“により変化するため、
これにより、ステージが変化することが多々あります。
相場のステージは『相場参加者の売買パターンの傾向が同じ期間のまとまり』であるため、この2つの要素の影響を多く受けます。
ですが、最も重要な事は、「相場参加者が同じ売買パターンを繰り返しているか?」ということです。
トレンドが変わったり、参加者の数が変わっても同じパターンが繰り返されていればそれは同じステージということになります。
また、同じステージの中では、参加者が同じような売買パターンを繰り返す傾向があるため、同じステージが続く間は比較的、同じ売買ルールが機能しやすい(利益を上げやすい)といった傾向があります。
逆に全く違ったパターンの相場(ステージ)になると急に機能しなくなくるといったこともありますので、それを踏まえ売買ルールを評価する必要があります。
ちなみに余談ですが、基本的には人間は良い結果をもたらした行動パターンを繰り返すという性質があります。これは脳にプログラミングされており、このような脳の仕組みから、危険を回避し、より環境に適応し、生存確率を高めています。
トレードにおいても、本能的に利益の上がったトレードパターンを繰り返すことからこのような”相場のステージ”が現れるのではないかと思います。
このステージは3~5年程度で変化することが多いですが、変わるタイミングとしては明確な基準はありません。私は、様々な売買ルールの性質の変化を観察しつづけ、このステージの変化を見極めます。
変化するタイミングとして、経験では外部環境の変化の影響が大きいです。以下のようなものです。
・政治的に大きな転換期があったとき
・金融や証券の制度に大きな変更があったとき
・歴史的なバブル・ショックがあったとき
<新興指値買いルール(指値の検討2)のまとめ>
・『相場参加者の売買パターンの傾向が同じ期間のまとまり』を相場のステージと呼ぶ
・ステージの期間を以下のように定義する。
2000年~2002年 1ステージ 下落相場・出来高少ない
2003年~2006年 2ステージ 上昇相場・出来高多い
2006年~2008年 3ステージ 下落相場・出来高多い
2009年~2012年 4ステージ ボックス相場・出来高少ない
2013~ 5ステージ 上昇相場・出来高多い
・”相場のトレンド”と”出来高の増減”がステージ(相場環境)の変化に影響している。
次回はこの相場のステージを使って、指値の検討をしていきたいと思います。
続きの記事→トレードに役立つ統計学[新興指値買いルール編]その2・準備:指値の検討3
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