【文字起こし】八丈島STYLE 八丈島民インタビュー④(後編) | らいむの“ひょっこり八丈島”

らいむの“ひょっこり八丈島”

八丈島への「入口の入口」になれば、と始めてみました。

島のこと、島暮らしのことなど、書いていこうと思います。

#4 八丈ドロップス代表 加納穂子さん

Screenmemo_2021-05-18-08-47-34.png

 

 

●(地域活動支援センター)よけごんは障がい以外の方も利用できるんですよね?

かなり全国的にも地活(地域活動支援センターの略)の中でもかなり特殊なところだと思う。ていうのは、障がいの方だけじゃなくて高齢の方、認知症の方とか、障がいの認定を受けていない人、だけれども、ちょっとこう何か、居場所が欲しい、生きづらさを感じる、そういう障がいの人だけが集まる場所とかそういうんじゃなくて、まずその地域の中、島の中で、何かちょっと困ったことがあったことがあったりとか、こう、安心できる居場所が欲しいなっていう人が、集まれる場所にしたいので、ここの設立の時も、町のほうにも、“障がいの認定を受けている人だけのためではなく、この島の中で、いろんな人が集まれる場にしたい”という思いで、始めているので。普通、地活って、対象者はが精神(障がい者)のための、とか決まっているんですよ、大体は。例えば、精神科受診している人に限るとか、そういう条件が付いてる。でもここはそういうの何もないので。ただ一応、町に申請書は出します。申請する時に、「こういう理由でよけごんに通所したいという希望があります」みたいなことを説明したりはするんですけど、そういう意味では画期的だと思う。

 

●利用したい人は結構いますか?現状は足りていますか?

水曜と土曜はかなり人数が多くなって、ちょっと過密な感じになるのもどうかなって。ただ、今の時点では、新規のかたとかの、定期の通所というので、週3回は遠慮してもらっているんですよ。月水土、毎回は無理で、水と土の両方というのも、どちらかに選んでもらえますか、という風にしてもらっているところで。一応、町のほうに要望を出しているのは、(通所希望)人数に対して、受けきれないから、開所日を増やしたいというのは出していて、ただやっぱり予算がつかないと、というので、本当は(2020年)10月ぐらいからできればいいなと思っていたんだけれど、まずは月2回、金曜日。月曜日と同じ感じで午後だけ開ける。ということができないかな、というのを今、町に要望しているところです。

 

●現在の補助金だけでは足りませんか?

予算はもう、足りないです。

 

●予算があれば毎日開所できる?

予算があれば、ね(笑)

 

●持ち出し分はどうしてますか?

持ち出し分は今、ヘルパー事業の分とかの収益分をこっち(よけごん?)に回すとか、家具の販売とかもこっちで足りないから、なんとか回して乗り切ろうっていう、いろいろ収入を増やす方法を今、考えているところなんだけれども。

 

●リサイクル家具販売は継続中ですか?

結構、ニーズありますね

 

●福祉バザーが中止になって寄付したい人がいるかも?

そうだね。ただ、あんまりいっぺんに来ると、倉庫のキャパがあるので、入りきらないけれども、もし“処分しようかな、でもただ捨てるのはもったいないな”っていうので、寄付してくだされば、収益につながるので(よろしくお願いします)!

 

●他に何かPRしたいことはありますか?

自然養鶏とーとーめの卵。これなかなかね、毎日そんなよけごんで、希望する人が明日葉を刻んでくれて、毎日明日葉を食べているニワトリ、そして水は薬師様の湧き水を飲んでいて。やっぱり遺伝子組み換え飼料を使いたくなくて、そこはちょっとこだわって。卵の黄身の色が(飼料ににトウモロコシを入れてないので)ちょっと薄いんだけれども、ベースが麦とフスマで、そこに明日葉が入って、カキ殻が入って、あとはちょっと時期的にないんですけど、1年間のうちの3分の2は、焼酎のしぼりかすを入れて、鶏を飼っています。

 

●栄養豊富でこだわりある餌を食べさせてますね

あと、タンパク質というのは、魚のアラをいただいて、それを茹でで、それにまた、ジャガイモとかカンモ(サツマイモ)とかのクズをいただくので、それも一緒に茹でたりして、全部混ぜ込んで、餌にしています。

 

●とーとーめ(鶏)たちの育つ環境も素敵ですね

平飼いで、自由に動き回れる環境で、1日1回小屋からも外に出して、小屋の周りを自由に過ごす時間もあって、というような環境で、鶏を飼っています。で、卵が1個50円なんですけど、よけごんで買えます。是非、食べてみてください。

 

●息子さんの映画製作に関してどのように思われましたか?

いろいろ大変なこともありそうだと思ったけれども、自分も、彼が撮りたいと思ったことは尊重してあげたいと思った

 

 

映画『沈没家族』の予告動画と、息子で映画監督の土さん。
 

 

●映画の反響が大きかったことはどう思いますか?

それはね、やっぱり、正直言って驚きましたね。こんなすごい反響というか、こんな子育ての仕方があったのかとか、そういう声が大きかったんだけれども、気持ちが楽になったとかいう人もいたし、でもあんまり変わってない…、というか。私が小さい息子を育てていた当時の、生きづらさみたいなのとか、今もおんなじように、(生きづらさを)感じている人がいっぱいいるし、いるんだなっていうところ(がわかった)

 

●先ごろ出版された沈没家族の本の感想はいかがですか?

ちょっと3行くらい読んで、ヒュッてなって、また読んで、フッてなって、という感じ。改めてゲラ(校正刷り)の時を見て、紙(の状態)でだけ見たあと、こんな本となって見ると、衝撃というかね。やっぱ、映画ってさ、こう流れていくじゃない。でも本って、繰り返し見るじゃん。「あ、こういう風に言っていたんだ」とか(笑)恐ろしいものだなと思ってますけど(笑)

 

 

 

●居場所づくりのバイタリティはどこから湧いている?

まず自分が居たい場所が欲しいじゃない。自分が居れる場所が欲しいじゃない。それがなければ作るしかないから(笑)

 

●その発想が普通の人にない。面倒くさくない?

作ることを考えること、面倒くさくない。実際作っていく過程は面倒くさいこといっぱいあるけど、やっぱ基本は、どうやって自分が生きていけるんだろうっていう、割とベースがこう、途方に暮れている感があるので、なんていうか、「このままじゃ(居心地よく)生きていけない」というか、やっぱりこう、「ここにいれば安心」みたいな場所が、なかったりすると、“それじゃ、自分で、作る(笑)”。それは人が好きだからだろうね

 

●人との距離が絶妙なところが上手くできる秘訣ですか?

秘訣とかは考えたことはなくて、たぶん、(私は)周りに人がいっぱいいることは平気。でももちろん、自分の時間もすごく大事だし。まぁ、沈没(家族)だって、スペース的には個室があるし、何もかもが全部一緒くたではない。けど、人(他人)の気配があるのは全然平気。

 

●だからよけごんもできたのではないかと感じますが?

ここ(よけごん)は本当に、私自身では全然なく、ドロップスという共同体という意思決定の中でやっていることだから、それぞれのカラーはにじみ出すとは思うけどね。

(人との線引きは)上手ではないよ。こう、“ムムッ!”ということもあるし、そんなにこう、スマートに、とかじゃなく、今だから、面白いんだけどね

 

●人と上手く関わっていく秘訣があれば教えてください

ないね(笑)それはやっぱり、ないよ(笑)

 

●では人と関わる上で気をつけていることは?

想像することだね。自分の見方だけで相手を決めつけない(相手が)「何を思ってこんなことしてんのかな?」とか、わかんないこといっぱい。もちろんわかるわけないなんて、あるの当たり前だから。そこにちょっと、心を寄せてみるというか。何かその人の面白いところというか、なんか人間の、みんな癖があってさ、それが面白いと思うし、それが好きなんだと思う。

私はその、何ていうの、本当にいろんな人がいるじゃんって思うと、なんか自分も安心するし、楽しいなって思う。

 

ありがとうございました!

 

 

この動画を紹介する、スーパーあさぬまのブログ記事。

 

 

インタビュー動画。リンク先などはこちらの動画説明欄から。 

 

(あとがき)

敬語と口語が混じって、起こしにくい文章になってしまいましたが、極力、言葉のニュアンスが伝わるように、お話しいただいている感じに近づけてみました。

「遠心力で飛ばされて」八丈島に来たエピソード、生きづらさを感じている人のための居場所づくり、息子さんの映画の話。人生何回分!?と思うほどのさまざまな体験をされてきた方のお話を聞けてとても有意義でした。

失念していたのが、「よけごん」の意味。よけは良い、ごんは「~しよう」という意味。日本語では表現が難しいのですが、“Join us.(私たちと一緒に取り組みましょう。)”に近いのかなと思います。

 

←前編へ

次の方へ→

目次へ→