毎週、義理の姉に会う。


母ちゃんの祭壇の花を生け替えるためだ。

義理の姉は毎回、花を抱えた私を近隣の地下鉄の駅まで迎えに来てくれる。


こんなに義理の姉と話すのは、おそらく初めてといっていいほどだ。


母ちゃんが亡くなった後に送ってくれたLINEに泣いた。


長いLINEだったけど、その一部。

ほぼ原文……


「これから1つ1つ 事が終わって行くと色々後悔が出たりするだろうけど…良くやって来ました、中々出来ない事です

誰よりも良くやって…誰にも真似出来ないほどです

たいしたもんです」


忘れてはいけない、心に刻む。

こんな風に思ってくれていたのかと涙が止まらなかった。


で、洋服。


私はお出かけ用の洋服を持っていない。

必要ないから、買わなかった。


仕事と母ちゃんのとこへ行くだけだったから、パーカー3着、カットソー3着、カーディガン2着。ジーンズ2本。これでローテーション。

それと初七日の時に喪服ではなく黒い服でいいと言われて、黒い服を1着も持っていなかったから慌てて買ったもの。

慌てて買ったから、落ち着いて見ると好みではない困った服……


義理の姉に毎週会うのに、なんとなくちゃんとしたの着ていかねば…などと思い、仕事帰りにイオンに行った。


行ったんだけど、目がいくのはもう買わなくていい母ちゃんの洋服ばかりで……

母ちゃんの好きな色、デザイン。喜ぶ顔が浮かぶ。


長年の無意識の習慣を意識してやめなきゃいけないんだな……とウルッとしてしまう。


で肝心の自分の服。

なんか、たくさんあるけど買いたいものがなくて……でもせっかく来たから1枚だけこれからの季節にも着ることのできるニットを買った。



今朝起きて外を見たら、また雪が積もっていた。

外に出たら足首が埋まるほどの雪。

もう、雪はいいのに……



母が亡くなって1ヶ月。


1ヶ月もたっているのに、未だに実感がわかない。


実感がわかないというか、まだあの部屋に行けばいつものように迎えてくれるんじゃないか…

日課の電話もかかってくるんじゃないか……


入院してあっという間に旅立ってしまって。

持病ではない、突然発症した違う病気でまさかそのまま逝ってしまうなんて、思いもしなくて……


段々病状が悪くなるのを見ていたら、まだ少しは気持ちも違ったのかもしれない。


毎週、母の祭壇の花を生けかえに兄の家に行っている。

もう、母の為にできる事は花を生けるだけ……


仕事は普通に行っている。

笑ったりしながらいつも通りにやっている。


でも、家に帰ると何も手につかない……

猫さん抱っこして、ぼーっとして気がついたら涙ぐんでる……そしてハイボールを飲む……


自分がこんな風になってしまうとは思っていなかった。

もっと強いと思っていた。


あまりにやる気も元気も出なくて、有給まで使いだした…

休んで1日何もしないで家で転がっている……


それでも、ドラマは見るようになった。

少しずつ前に進んではいる。


1人で生きるために。



近所の畑に融雪剤が散布されていた。

春近し……

日の出が6時 日の入が17時半
日が長くなってきた。



入院から約3週間。 

2月11日母は父のところへいってしまった。


面会できなくても、手紙を書いて持って行った。携帯電話を使っていなかったから声を聞くこともできなかったので、せめて手紙だけでも渡してもらって励ましてあげたかった。


先生から、容態が急激に悪化していてあと1日か2日くらいだろうと電話があった。

面会をさせてほしいと頼んだが聞き入れてはもらえなかった。


だが、義理の姉が病院に猛烈にかけあい子供3人だけ短時間の面会の許可を取り付けてくれた。


義理の姉に感謝しつつ、兄、姉、私の3人で面会に行った。

意識はあるけど、酸素マスクをしていて思うように言葉がでない。それでも笑顔を作っていた母。大丈夫だからとやっと聞き取れる声で母は言った。

元気になって家に帰ろう、みんな待ってるよって話しかけた時、にっこり笑顔でうなずいた。


泣くまいと思って行ったから、とにかく笑顔で……頑張って笑顔でいた3人。


その夜、母は1人で父のところへ旅立ってしまった。

翌朝、病院に母を迎えに行った。

その顔から苦しい最期だった事がわかり、そばにいてあげられなかったことが悔しかった。


葬儀の打ち合わせの時、私はひとつだけどうしてもお願したい事があった。


ドレスを着たことがないから、父のところへはドレスで行きたい。


生前、母が言っていた事を叶えたかった。


斎場の方が探してくれて願いを叶えてくれた。

今は色々技術がすすんでいるようで、苦しい表情を柔らかい表情に変えてもらえた。少しこけていた頬もふっくらしていた。メイクも希望通りにしてくれた。


棺の中の母は、とても綺麗でほんのり微笑んだような表情になりドレスを着ていた。

ベール、ネックレス、ブレスレットもしていた。ほんとに2度目の嫁入りだ。


それを見た時に、なんだかほっとしてしまって…… 

処置のおかげか手が柔らかくて、なんども握った。

なんだかあっと言う間に天国に行ってしまった。


葬儀もしたし骨も拾った。

でも実感がわかない。


サ高住に住んでいたから今月中に部屋をあけなければならず、先週末兄弟で片付けに行った。

次の火曜日に、処分しなければならない物を業者さんが取りに来て、部屋を空にして鍵を返して終わり……


本当なら49日まではそのままにしたいけど、そうもいかないので仕方ない。


家には母の使っていた物を持ってきた。

それでもまだ実感わかない。


火曜日、空になった部屋を見たら少しは実感が湧いてくるのだろうか……


親戚や周りの人達が、私の事を心配して連絡をくれる。ありがたいことです。

メールをくれたミケちゃん、ありがとうございます。


大丈夫でもないけど、日常には戻らないとならないので仕事も早々に復帰しています。


どうにも身体が重い、やる気と元気がでない毎日ですが、それでも進むしかありません。

無理にでも笑顔作って接客もしています。


父が亡くなってから、母のことを最優先でやってきた8年だったので正直これから何をしていけばいいのかわからない。

本当にどう生きればいいのかわからない。


それでも、時間は流れる。



まずは火曜日。

母の荷物を送り出します。