佐藤 唯行
アメリカ・ユダヤ人の経済力



前回のブログでは米国の政治や学問、経済界に
多くのユダヤ系の人達が進出しているという
話をしました
これもひとえにアメリカ建国以来ユダヤ系民族
が多くの富の蓄積をしたがゆえになしえたことです

ではいかに富を蓄積したのか??
を検証するのが本書です

アメリカ建国当時ドイツ国内においては銀行業などで
ユダヤ民族の富の形成が行われていましたが
(もちろん迫害の歴史も重要です)
アメリカに移住したユダヤ系民族はドイツから
大金を持ってきたわけではなく
一から富を築いています

最初は小売(行商)を行いながら少しずつ資本を
つくり、多くは自宅に下宿人をおいて家賃を得たりも
しています
ある程度の資本ができれば不動産投資により
資本を増やしたようです
(東欧などではユダヤ人が土地を買うことが
制限されていた歴史もあり、自由の国米国では
多くのユダヤ人が土地に投資をした)

ある程度資本を持った人達はその後様々な業種
で大企業を形成していきます
例えば、
百貨店:メイシー、ブルーミングデール
化粧品:レブロン、ヘレナ・ルビンステイン、マックスファクター、エスティ・ローダー
お酒:I.Wハーパー
ファッション:リーバイス・ストロース
映画:コロンビア、MGM、ワナーブラザーズ
メディア:CBS、ABC、NBC(これらはユダヤ系ラジオ放送が原型)

などなどきりがないほどです
ちなみに映画やメディアに関しては買収に次ぐ買収というかたちで
企業を形成しています

尚、事業資金の調達はユダヤ民族独自の信用制度によって
ドイツのユダヤ系商業銀行からの借入れの方法を用いたりも
していたようです

現在もっともユダヤ系の経済力が発揮されているのは
投資銀行でしょう
ゴールドマン・サックス
ソロモンブラザーズ
ベア・スターンズ
リーマン・ブラザーズ
などの大手行はドイツユダヤ系の銀行として有名です

尚、昨今話題のファンドもその多くはユダヤ資本と言われていますが
同じユダヤ系でも東欧ユダヤ系はドイツユダヤ系から
劣後としての扱いをうけており
東欧ユダヤ系はアンダーライティング業務には携われず
投資銀行内でも卑しい仕事とされた企業買収業務などで
実績を上げるしかなかったという一面があり
その結果として企業買収やグリーンメーラーの立役者
となった経緯があるようです
(今話題のスティールパートナーズも代表はユダヤ系です)

ここでは紹介し切れませんが
ただ金儲けをしていたと言う印象ではなく
彼らの宗教観などもなかなか興味深いものがあり
細かい内容はぜひ本書の中で確認していただきたいと思います







 
佐藤 唯行
アメリカ・ユダヤ人の政治力 (PHP新書)



ユダヤ人というテーマは日本人には
なじみが薄いかもしれません

この本にあるように米国における
経済・政治その他あらゆる面において
ユダヤ民族の力は大きく
すなわち日本の政治も少なからぬ影響を
彼らから受けていることは事実だと思います

実際米国内には550万人のユダヤ人が居住しており
全ユダヤ人口の43%に上るそうです
また経済面ではGDPの10%程度を占める企業が
ユダヤ資本の直接経営下にある
そして米国のノーベル経済学賞・科学賞受賞者の
40%がユダヤ人であり
大手法律事務所の共同経営者の40%も彼らである
また主要大学の教授のうち30%がユダヤ人である

これらを見るだけでも各界への進出ぶりは
すごいものがあります
また経済だけではなく法曹界・学術界でも
大活躍をしているという事実

ある意味ユダヤ人の国というべきでは
と思うほどです
それだけ優秀な人材が育つ民族ということでしょうか

経済力については別の記事で改めて紹介しますが
政治の分野においては
「ユダヤ票なくして当選なし」と言われるほど
やはり大きな影響力をもっているということも
うなづける気がします

米国にはアジア系はじめ多数の民族が居住して
いるけれどもこれほどまでに各界で影響力を
持っているのは間違いなく彼らだけです
米国がイスラエル贔屓するのも
こうしてみれば当然のことでしょう

また本書では歴代大統領とユダヤ勢力との
関係についても触れられており
なかなか興味深いです

ユダヤ人の経済力については
改めて同著者によるアメリカ・ユダヤ人の経済力」
で紹介したいと思います
そっちの方が面白いと思うので☆

日本経済の罠―なぜ日本は長期低迷を抜け出せないのか/小林 慶一郎
注意今回は少しマニアックで、すいません
経済に興味の無い方は読み飛ばして
もらって構いません


「失われた10年」 「失われた15年」
去年から 日本経済は上向きという認識を
政府が発表し15年にわたる日本経済の
長期低迷は脱出したということになったようですが

バブル崩壊から経済の建て直しを図るのに
これほどの期間を要した
その原因は何だったのかというのが
この本の主題です

まずバブル経済の原因については諸説
あるようですが
筆者は土地の価格上昇を前提とした
土地神話のもとで不動産の買い増しを
続ける結果どんどん地価が上昇する
という状態が続いたことにあるとしている

そしていったん地価の下落が起これば
企業会計上 減損処理によって純資産を
圧縮してしまう

純資産が減少すれば銀行からの融資が受けづらく
なるため資金調達が困難に
その結果 経済全体の有効需要が縮小し
土地等の収益性が落ち さらなる時下の下落を招く
というファイナンシャル・アクセレレーター(金融増幅効果)
がはたらいてしまい
結果としてバブルの崩壊が起こる としています
(尚、ここでクルーグマンの通貨危機説との類似性に
ついて書いているあたりもなかなか面白かった)

このあたりは学説等も細かく検証しながら
たいへんわかりやすい説明になっています


問題はここからで
ではなぜバブル崩壊後の経済回復に15年も要したか

まず、当局では経済刺激策(ケインズ)をとればすぐにも
経済は持ち直すとの楽観的な立場にあったこと
さらに、ケインズの経済刺激策はあくまで短期的な
政策であり、不況の長期化にたいする施策について
教科書となるものはなく官僚達も手をこまねいていた
ことが原因だったとしています


ちなみに著者は通産省の官僚さんですが
初心者向けにとてもわかり易く書いております
あまり詳しくない自分にもよく理解ができました


「長期にわたる低迷の原因(ゲーム理論を用いて)」や
「不良債権処理の先送り」等
後半にも面白いないようがありますが
<後編>でご紹介したいと思います