ガウディの伝言 (光文社新書)/外尾 悦郎


「違いがわかる人」 外尾悦郎氏はスペインの
世界遺産<サグラダ・ファミリア>の建設に携わって
はや30年を迎えようとされています

そのきっかけが大変面白い
学校で美術の先生をしている時期に
道端の石を見て
「また石が彫りたい」と思ったそうです
(芸術大学時代に彫刻等の経験がある)

そしてヨーロッパへと旅をしてパリを経て
スペインにたどり着いたとき
導かれるようにサグラダ・ファミリアへと赴き
そのまま彫刻家として聖堂に携わる

まさに 行き当たりばったり的な行動に
驚かされます

ずっと「自分は何をしたいのか」という
探究心を常に持っていたのは小さい頃からだ
そうですが だからこそこのように自らのいるべき
場所を見つけたのかもしれません

彫り始めて既に30年近くになるそうです
(建築自体は120年にわたりずっと続いています)

建築との運命的な出会いにも感動しますが
その生き方もなかなかまねできるものでは
ありませんね


この建築はガウディの大きな構想と
キリスト教の世界に基づき 様々な彫刻家達
の創造性のなかで増殖し続ける宇宙だと
この本は教えてくれます

このような
いつ完成するともわからない創造物を作ることを
許された人間はとても幸せだと感じます
また現在でも世界中から支援が集まって
創造し続けられることが素晴らしい

どうでしょう日本に限らず今の時代に
考えられない事だと思います


建築・街 に思いを馳せたとき 日本という国は残念ながら
都市計画が脆弱でまったく機能していないといわれています
ましてや
現在は土地・建物はファンドに組み込まれる金融商品として
の価値で計られるものになったりしています

日本の建物は耐用年数が短く
スクラップ&ビルドが基本です
街並み・景観など俯瞰的な取り組みを
期待するほうが難しいのかもしれません

だからこそこのような素晴らしい建築
(もはや建築の枠では収まりきらない世界)
の世界を知ることはとても有意義に思います


想いー三茶の焼肉、世界をめざす/西山 知義
3,4年前(僕が就職した頃)は
世間ではベンチャーブームだった
ように思います
特にホリエモン、藤田晋らの20代の若手社長
がよく話題になっていて
その後、女性起業家さんもたくさん話題になりました

今はどうなんでしょうか?
ホリエモンの事件
楽天のテレビ局への敵対的買収等
ネガティブなニュースが続いたので
ブームは去ったんでしょうか??


この著者はご存知<牛角>の社長です
現在はコンビニ「ampm」 スーパー「成城石井」 「牛角」
を擁するホールディングカンパニーの社長さんです

起業のスタートは小さな街の不動産屋さんで
結構苦労の日々を重ねたそうです

その後一念発起し 安くておいしい焼肉屋さん
を目指して新たにスタートを切るのですが
そのメンバーは
奥さんはじめ不動屋さんの社員みんな
(もちろん素人ばかり)で一からスタートし
少しずつ成長を重ねたそうです


僕はここが面白いと思っています
まったく業種の異なる事業を始めると
社長が言い出したらあなたは着いていけるでしょうか?

本に書かれているとおりならば 社員たちは
社長の強い「思い」を信じて業種が変わっても
ついてきてくれたとのことです

現実的に考えると
そんな先のわからない事業の転換に人は
なかなか付いていけないと思います

それでも人を惹きつけることができる
そんな人はとても稀ではないでしょうか

以前 ウェディング会社「テイクアンド・ギブニーズ」
の野尻社長の本を読んだときも
野尻さんがゼロから会社を始めるといった時
後輩が「野尻さんが会社をやるんだったら付いていきますよ」
という旨のことを言って 実際一から共に働いた
という内容がありましたが

すごい人望だなぁ

と素直に感心してしまいます

その後焼肉屋は繁盛して
全国チェーンへと大発展を遂げていますが
その過程も 読んでいると凄まじいパワーと
社員の貢献に感動してしまいます

自分もそんな人になりたいなと
素直に読んで感動したい本です


栗林 良光
大蔵省主計局


「キャリア官僚」という人種について
詳しいことを知る機会はなかなかない
と思います

例えば「踊る大捜査線」なんか見ていても
キャリア官僚はなんだか組織の論理に
がんじがらめの汚い世界
くらいの印象だけある人もいるかもしれません


キャリア組のなかでもいろいろ出世の仕方
があるようで この本では
特にキャリアの花形といわれる大蔵省
(現:財務省)主計局長への出世方法について
細かく教えてくれています

それはまず国家公務員試験の受験から
競争は始まっています
まず
東大法学部出身
国家公務員Ⅰ種試験上位50番以内
の条件をクリアし
大蔵省に入省する

2年毎くらいに各地の財務局等に転勤を繰り返す
(転勤先にも細かく出世の階段が設定されており
 階段を踏みはずさないことを厳守)
この段階で同期のライバルとの熾烈な競争が
あり 少しのミスや不祥事で足元をすくわれ
トップへの道が閉ざされるようです

そうしてこうした競争に勝ち抜いた者だけが
キャリアのトップ
大蔵省主計局 主計局長という
肩書きを手に入れることができるそうです

さらに面白いことに
こうした官僚界のトップには素敵な
縁談が舞い込むそうで政治家先生
の令嬢との結婚によって
その政治家先生の地盤
を受け継いで国会議員への道
も開かれるといった具合に
道筋が作られるようです



まあ、あくまで典型的なパターンだとの
但書はありましたが とかくこのように
試験を受ける段階からレールの上から
滑らないように最善の注意を一生払い
続けることがこの世界で生きる術なの
だなあと実感しました


逆に階段を踏み外さなければ
地位は保証されているという
なんか変な組織ですね
実力うんぬんではなく 上っ面な世界だなと・・